特別展「浮世絵でめぐる隅田川の名所」が、東京のたばこと塩の博物館にて、2025年4月26日(土)から6月22日(日)まで開催される。
浅草寺をはじめとする寺社が点在し、四季折々の自然にふれられる名所もあった隅田川は、江戸時代の人々にとって格好の行楽地であった。その様子は、浮世絵にも数多く取り上げられている。江戸名所のシリーズには、隅田川周辺を描いた絵が必ず含まれるほか、役者絵や美人画の背景などにも、隅田川周辺が小さく描きこまれることがあった。
特別展「浮世絵でめぐる隅田川の名所」は、浮世絵作品をとおして、隅田川の名所を紹介する展覧会。周辺の寺社、花名所、料亭などに着目しつつ、歌川広重や歌川国芳、溪斎英泉らによる作品約150点を紹介する。
隅田川と深いゆかりを持つ寺社のひとつが、浅草寺である。飛鳥時代、隅田川で漁をしていた兄弟が仏像を引き上げ、これが聖観音(しょうかんのん)菩薩像であるとわかったことから、浅草寺が建立されることになったのだ。本展では、漁師が隅田川から観音像を引き上げる場面を捉えた広重《東都旧跡尽 浅草金龍山 観世音由来》や、浅草寺の本堂と五重塔を描いた英泉《江戸浅草金龍山 観世音境内之図》などを展示する。
隅田川の土手・墨堤(ぼくてい)は、桜の名所として知られている。三囲(みめぐり)稲荷から木母寺(もくぼじ)まで続くこの桜並木は、江戸幕府の8代将軍・徳川吉宗の命により生まれたものであり、江戸の中心から比較的近いことから人々に親しまれた。会場では、墨堤の桜を女性の姿とともに描いた英泉《隅田堤桜盛》や、人気役者の夜桜見物を題材とした一恵斎芳幾《隅田川の夜桜》などを目にすることができる
江戸には数多くの料理屋が存在し、食事ばかりでなく、文化活動や交流の場としても利用された。こうした料理屋は、江戸時代後期になると浮世絵にしばしば取り上げられている。たとえば、隅田川沿いの有名料亭・小倉庵は、幕末に息子の長次郎が本所の幕臣・青木弥太郎と強盗事件を起こして捕縛されるという事件が起こったことから、人々の話題となった。本展では、この料亭の様子を描いた広重《江戸 高名会亭尽 本所小梅 小倉庵》や、長次郎と弥太郎の強盗事件に取材した泉竜亭是正作『小倉山青樹栄 昔日新話』などを紹介する。
特別展「浮世絵でめぐる隅田川の名所」
会期:2025年4月26日(土)~6月22日(日) 前期・後期で大幅な展示替えあり
[前期 4月26日(土)~5月25日(日) / 後期 5月27日(火)~6月22日(日)]
会場:たばこと塩の博物館 2F 特別展示室
住所:東京都墨田区横川1-16-3
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
入館料:大人・大学生 300円、小学生・中学生・高校生・満65歳以上 100円
【問い合わせ先】
たばこと塩の博物館
TEL:03-3622-8801