ファーファー(fur fur) の2013-14年秋冬コレクションが2013年3月22日(金)、ラフォーレミュージアムにて発表された。テーマは「暗闇の中の記憶を紡ぐ」。前回とは打って変わり、色をそぎ落とし、研ぎ澄まされた暗闇の世界が広がった。
前田エマによる詩の朗読からショーは始まる。ストーリー性よりも過去の記憶をランダムに、ロマンチックに紡いでいった。朗読が終わって登場したのは黒のグランドピアノだ。ピアニストの寒川晶子が「ド」という音だけを用い、そのなかで少しずつ変化していく音のパフォーマンスを行った。
パフォーマンスが始まるとファーストルックが登場。ウール素材を圧縮した、厚みと深みのある黒いロングドレス。続くルックはベースはほぼ同じで、靴や帯の変化が続く。音楽の「ド」が少しづつ変化していくように、黒いドレスが変化していった。
次第に偏重するようにルックも変化し、淡いベージュが登場。レザーのジャケットがコネクションとなる。インパクトのあるメイクは油絵タッチで、ドイツの女性画家から着想を得たもの。甘く鋭いタッチがコレクションにマッチした。
「今回は、デビュー当時の気持ちにかえった」と語るデザイナー、チダコウイチ。ファーファーが持つかわいいイメージは、作品が商品化へと進むにつれ、思い描く以上についていったもの。ニーズに合わせて作品を変えられることも一つの才能だが、表現したいものとのバランス感覚は微妙で繊細。鋭く文学的な、真のファーファーらしさを見ることができるコレクションとなった。