ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)の2025-26年秋冬コレクションが2025年3月22日(土)、東京・九段下の九段ハウスにて発表された。テーマは「A DISTINGUISHED WOMEN MOTORISTES」
今季のハルノブムラタは、英国初の女性レーシングドライバーであるドロシー・レビットを着想源とした。女性がハンドルを握ることが稀であった20年代初頭、カーレースに出場し、運転の指南書を書き記したドロシー。デザイナーの村田晴信は、彼女の大胆かつ優雅な生き方を"エレガンスの原型”と捉え、コレクションを通じて動きと静けさのコントラストを体現していく。
まず特筆すべきは、動くたびに変化する、流れるようなシルエットだ。ファーストルックとして、タイトなニットトップスと軽やかなフレアスカートのスカートのドッキングドレスが登場。歩いているときはもちろん、立ち止まって回るとスカートが"ふわりと”舞い、余裕のある所作から生まれるエレガンスを見てとることができた。同様に、ウエストに向かってギャザリングされたシャツワンピースや、なめらかなワイドパンツ、体躯が浮かび上がるロングドレスなども流動的なシルエットで上品さを支えた。
工業的な素材使いも印象的だ。オールベージュのシャツとスカートは、硬質的な素材でインダストリアルなムードを演出。さらにスカートに直線的なプリーツ加工をあしらい、動静を対比した。
また、ワークウェアの重厚さとしなやかさをかけあわせたルックもあり、洗いをかけることで豊かな風合いを出したカーゴパンツや、毛足の長いウールをラミネート加工し、レザーライクに仕上げたモッズコートなどを提案。ヘッドアクセサリーとして、ヘルメットをイメージしたハットが度々登場している。
運転するうえで必要不可欠であるバックミラーも、ドロシーの"手鏡を持つと視点を切り替えられる”という提案によるもの。走行中、手鏡に映った空や草原の景色をイメージし、ドレスやトップスには、濃淡の異なるブルーやグリーンを幻想的なグラデーションで表現している。