ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)のメンズ高級仕立服 アルタ サルトリア(Alta Sartoria)2021年春夏コレクションが、イタリア・フィレンツェのヴェッキオ宮殿の500人広間にて発表された。
フィレンツェ、そしてルネッサンスを象徴するヴェッキオ宮殿の500人広間で披露されたコレクションには、ルネッサンスの様式とクリエイティビティを反映。
ドルチェ&ガッバーナの仕立てと、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ボッティチェッリ、ピエロ・デラ・フランチェスカといった画家たちが才能を発揮し、永遠の輝きを放つ名作を生み出してきたルネッサンスの突出した芸術性とを組み合わせることで、新たな独創性の境地を目指した。
象徴的なのは、500人広間にあるジョルジョ・ヴァザーリの壁画を大胆に落とし込んだガウン。人々や馬がなだれ込むようにして争う様子を描いた壁画をガウン全面に配した。壁画のダイナミックな迫力はそのままに、所々に金色や銀色の糸を使うことで、光を受けて輝きを放つ仕様になっている。
幾何学的で絢爛な模様は、ヴェッキオ宮殿の芸術的な空間に溶け込むかのようだ。ビジューを使った細やかな刺繍で複雑な模様を表現したジャケットや、荘厳な聖堂を彷彿させる十字架のモチーフを配した一面ゴールドのトップス、ゴールドの模様を浮かべるようにして散りばめたシアーなジャケットなど、華やかな模様のルックが揃う。
加えて、中世の市民を思わせるルックも目を引いた。手に持った籠いっぱいにブドウやワイン、花を運ぶ彼らは、芸術や工芸の工房に属する職人だろうか。バスケットと同じ素材で編み込んだベストや、色鮮やかな作物や花の刺繍を配したパンツ、ベストなど、細やかな“手仕事”を思わせるデザインが登場。
さらに、レザーブルゾンには手描きのようなタッチで植物の模様が施され、しっとりとした艶のあるベルベットガウンの襟には、メタリックな輝きを放つみずみずしいブドウの装飾があしらわれている。
散見されたのは、ゆったりとした仕立てのチュニック。クルーネックの襟に、分量感のある袖と身幅が特徴的なチュニックは、様々な装飾のバリエーションで登場した。全面にホワイトやブルー、イエローなどのフェザーをあしらったチュニックには、“FIRENZE”のロゴやユリの紋章、格子柄がダイナミックに配置されている。
その他にも、ゴールドジャカードとスカラップ模様を組み合わせたデザインや、アラベスク模様にゴールドのフリンジを配したチュニックなどを展開。煌びやかな花模様のチュニックにはルネッサンス期にフィレンツェを繁栄させたロレンツォ・デ・メディチの肖像をあしらい、美術品の額縁のように、その周りをゴールドの装飾で縁取った。