タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITheSoloIst.)の2013年秋コレクション「Symphony#0008」はミニマルに、そしてコンセプチュアルに進化した。
これまでコレクションに対して特定のテーマを設けることのなかったタカヒロミヤシダザソロイスト.だが、今季はブランドの示す普遍的なダンディズムを、新たな試みで表現するため、「アメリカン ダンディーズ(AMRCN DANDIES.)」をテーマに掲げた。テーマには年齢に関わらず、こだわりや趣味趣向を突き詰められる男性すべてにあり、自分に合うものを知っている人がダンディである、という価値観が込めらている。
デザイナー宮下自身の1週間のワードローブとして組み立てられた本コレクション。メンズスタイルのセオリーと言うべきジャケット、パンツ、シャツ、ニットをメインに構成された。ジャケットは宮下が袖を通し、修正を繰り返すという緻密な作業により作り上げられたパターンと、切り離された布端の処理、洗いがかけられたテキスタイルにより仕立てられた。精巧なパターンにより、体になじむ心地よさとつつましさのあるシルエットに。袖からはライナーを覗かせるバランス、截ち切りのポケットなど、洗練とダンディズムをディテールでも追及している。
アメリカントラッドな表情のセットアップは全部で9パターンのテキスタイルで作られた。いずれも、セットアップではもちろん、違うテキスタイルとの上下の組み合わせであったり、スウェット地のパンツを合わせたりと、異なる印象の装いをシチュエーションに応じて楽しむ自由な着こなしを提唱している。
チェスターコートはダブルとシングルとあるが、どちらもカシミア混ウールの贅沢な素材ながら洗いがかかっており、パッチとフラップが重なったユニークなポケットが施されている。タカヒロミヤシタザソロイスト.が指すダンディニストは、仕立ての良さの中にチャーミングさを持ち合わせるデザインとして表わされた。今シーズンのニットはハイゲージとミドルゲージの2型。少しロングポイントに仕上がった襟のシャツは、ジャケットを重ねたときのバランスを重視してデザインされている。
靴は、毎シーズン続いているオーセンティック シュー&コー(AUTHENTIC SHOE & Co.)とのコラボレーションにより作られたフリンジ付きレースアップブーツの他に、ウエスタンブーツのフライ(frye)のレザーを使ったブーツとドレスシューズも。バナナイエローのレザー×レザーで描かれたファイヤーパターンが特徴で、ブーツは今季の新型として登場した。
またアイウェアに関して、オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)とのコラボは今回、第5回目のコレクションをもって、名残惜しくも最後となる。ジョン・レノンやウッディ・アレンなど様々な年代のミュージシャンやアーティストをアイコンとした眼鏡を含む全6型が展開される。