ミヤオ(MIYAO)の2021年秋冬コレクションが発表された。
白と黒の世界に冷え冷えと咲く青い花──ブラックとホワイトの二重奏のなかに凛として響きわたる、このブルー。それはドイツの詩人ノヴァーリスに倣うならば、“此処ならぬ何処か”への憧憬を仮託するものでもあろう。息の詰まるような“此処”を離れて“何処か”へと誘う、青い花──。
“何処か”へと思いを致すとき、その糸口には“此処”の意識がある。じじつここで、起点となるのはTシャツである。身にまとってストレスを感じることのない、その気楽さ。そうしたリラクシングなTシャツに、ドレッシーなムードを漂わせる。ワンピースはTシャツのデザインを踏襲しつつも、レースで縁取った四角いファブリックを使用し、フロントにダイナミックなドレープを生みだした。
また、ロングTシャツには随所に大胆なカットを施し、それを橋渡しするようにリボンをふんだんに連ねて。あるいは、ベーシックなフォルムを基調としつつも透け感のある素材でアレンジするなど、Tシャツをベースに、甘く華やかな雰囲気に仕上げた。ともに合わせた、ふんわりと夢の中に広がるようなチュールスカートやレース飾りも、花のように優美な表情を引き立てているといえる。
「青い花」に誘われて、コレクションには澄みきったブルーが随所に取り入れられている。ショート丈のトレンチコートは、ドロップショルダーとゆったりとした身幅でリラクシングに仕上げつつも、目の覚めるような──むしろ、“何処か”へと誘うような──鮮やかなブルーをのせて。また、透け感のあるワンピースにはシャーベットのように爽やかな水色を使用した。
そして、フーディやワイドパンツなどには、絵付けを施した陶器から着想を得て、白を基調に青い花をふんだんに咲かせた。リラックス感あるアイテムを基調としながらも、冷ややかな表情を醸しだす花のモチーフや、透け感のある素材で切り替えた袖先などが、絶妙な華やかさを演出している。