KENZO(ケンゾー)2014年秋冬メンズコレクションは、デザイナーのウンベルト・レオンとキャロル・リムの故郷であるカリフォルニアの空気感を取り込んだスタイルが提案された。
さざめく波音が聞こえてきそうなほどに、二人は海岸沿いのイメージを強調した。ホワイトや濃淡のあるブルーを基調とした爽やかな色使いはもちろんのこと、あらゆるアイテムに「波」のモチーフを使用。瞬間を切り取った立体的なモチーフもあれば、かすれた線で大きな流れを表現することも。手書きで描かれることで、大胆にあしらわれたグラフィックに、さらなる豊かな表情が生み出されている。
波は、ポップアートを彷彿とさせるコミカルなスクエアのデザインや、サーファーの海への情熱を表しているという落書き風スローガンとも組み合わせられた。しかしカオティックというよりは、むしろそれが心地よいリズムとなり、モノトーンでありながらもポップな雰囲気を醸し出させる役割を果たしている。
シルエットはゆったりとリラックス感があり、スポーティーさも感じられる。しかし、切り替えや強いグラフィックによって、カジュアルになりすぎない、都会的な印象に仕上げられているのが特徴だ。
コットンリネン、コットンサテン、ペーパーコットンなどのナチュラルな素材も、ナイロンの中にとけ込ませ、無機質でアーバンに。切りっぱなしのTシャツの素材には、スウェットスーツに用いられるネオプレンをセレクトしたり、ブレスレット、ネックレス、ベルトのモチーフには空き缶のタブを用いるなど、慣れ親しんだ潮風の香りを漂わせながらも、ひねりの利いたアイデアが光るコレクションとなった。