ヨーク(YOKE)の2021年秋冬コレクションが発表された。
今季のヨークが着想源としたのは、戦後アメリカを代表する抽象表現主義の画家のひとり、マーク・ロスコである。その絵画の画面には、広大な色面が広げられ、それが幾ばくか揺らめくようにして枠付けられている。モネが対象を微小な色彩の点に分割し、それらが織りなす表層をカンヴァスに置き留めたのならば、ロスコは色点を取りだし、色彩が広がる面それ自体を絵画として定着したのだといえよう。
そのように色面が主眼となるロスコに着想していることを反映し、コレクションでは、深みのある色彩の揺らめきが際立つウェアを幅広く展開。ドロップショルダーのロングコートやジャンプスーツには、絵具が湧き乱れるかのような遊び心のきいた柄を、落ち着いた色みのジャカードで表現している。
一方、シャツやワンピース、温かみのあるモヘアニットのカーディガン、ストールには、グリーンやブルー、ピンク、イエローなど、豊かな色彩を縦横にのせることで、シンプルなシルエットながらも存在感を引き立てた。
アウターも、肉厚な素材感と深みのある色彩を特徴とするアイテムを用意。身幅をゆったりととったトレンチコートは、そのままリラックス感あふれるシルエットではもちろん、フロントボタンをアレンジすることでナポレオンジャケット風のスタイルでも着用が可能だ。
また、ウェアの外側と内側とが織りなすコントラストも、色面が縁取られたロスコの絵画を彷彿とさせる。ボリューム感のあるパッファーブルゾンは、ダークカラーの表面から一転、ライナーには鮮やかなボルドーを採用。さらにドローストリングをあしらうことで、シルエットにも変化がつけられるよう仕上げている。他方で、温かみのあるボアブルゾンは、存在感あるスリーブに大きくファスナーを設け、内側にあしらったレザー調素材のマットさを引き立てた。