ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2022年春夏メンズコレクションが発表された。シーズンテーマは「Greetings from Antwerp」。
今シーズンは、過去・現在・未来のアントワープを旅するような「アントワープ・ツーリスト」のコンセプトがベース。アントワープの過去や現在を象徴するモチーフを織り交ぜた“万華鏡”のようなクリエーションに仕上げており、ドリス曰く、このコレクションそのものがアントワープの未来のビジョンを指し示すものであるという。
アントワープの“過去”を連想させるのは、いくつかの絵画。ピーテル・パウル・ルーベンスの『ライオン狩り』やピーテル・ブリューゲルの『聖アントニウスの誘惑』など、1500年代~1600年代の美術作品をTシャツやパーカにプリントした。1970年代にデザインされたアントワープ・シティの“A”ロゴも、幾何学プリントとしてコレクションをリズミカルに彩っている。
アントワープの“現在”をイメージしたのが、ドリス ヴァン ノッテンのインターナショナルデザインチームのスマートフォンに保存されていた個人的な写真。大聖堂や聖アンナ・トンネルなどアントワープを代表する街並みに加え、深夜のナイトクラブで撮影した写真や、街の夜景、港の観覧車といったパンデミック前の何気ない――しかしとても気ままで自由な――日常を、シャツやアウターに散りばめた。
アイテムは、メンズのワードローブの基礎となるエッセンシャルなピースが主流。ソフトなフォルムのスーツやなめらかな肌触りのシルクシャツなど、春夏らしいリラックス感のあるシルエットや着心地のよい素材感が特徴だ。特大サイズのキャリーバッグや、ボリューム感のあるパフィーサンダルといった遊び心のあるアクセサリー類が、親しみがありながら斬新で、控えめでありながら大胆なルックを完成させている。
ドリス自身は今シーズンについて、さまざまな制限下での制作を強いられたからこそ“あの時を身に着ける”というアイデアが生まれ、“アントワープの街を改めて見つめ直す”きっかけを得たと語っている。「私たちが生きた自由だった時間を今祝うことで、また一緒に楽しめる日が来るだろう未来を、一足先に思い描いてみよう」とも。