イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、2022年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
「A Voyage in Descent」をテーマにした今季は、海の中に潜り、海底まで降りていく旅を表現。水中で感じる静寂から、神秘的な深海で未知の光景に巡り合った時の高揚感までを描き出す。水に包み込まれるような感覚や、水中で目にするもの、色鮮やかな生物たちとその力強さを、デザインに投影した。
象徴的なのは、落ち着いた静けさを漂わせつつ、みずみずしさも感じさせる「引き染め」のウェア。京都の職人の手によって施される「引き染め」は、あえて水を含ませた生地に刷毛やエアスプレーなどで柄を描き、染料を滲ませる技法。染料が水に滲んでいくことで徐々に柄が変化し、淡く曖昧な模様が浮かび上がる。
グラデーションを描くドレスやワイドパンツ、ブラウスは、布地の落ち感や光沢も相まって、水中に差し込む光と影をまとっているかのようだ。
加えてポイントとなるのは、みずみずしく軽やかな質感の素材と、曲線からなる流動的なフォルム。中でも目を引くのは、水の動きを服の形で表したピースだ。波紋を思わせるプリーツのリングを連ねたドレスやスカートは、水面に次々と波紋が現れていくかのような躍動感あふれる佇まいを見せる。プリーツの折り目と円のカーブによってしなやかな輪郭を描き、ユニークなシルエットを構築している。
螺旋状に編み上げたニットのトップスやミニドレスは、フレキシブルなフォルムがバウンスし、水滴が飛び跳ねる時のようなシルエットに。2色の再生ポリエステル糸を同時に編んでおり、動くとそのたびに内側の色が現れる、プレイフルな仕上がりとなっている。
また、伸縮性のある糸を生地の一部分に用いて製品染めを施し、部分的に収縮させることで“さざ波”を表現したアシンメトリーのトップスなども登場。脇の部分をカットアウトしたジャケットやベストは、光の屈折によって水中でゆらゆらと歪んで見える像を連想させる造形だ。
しなやかなレーヨン地を用いた、流れるような仕立てのドレスやコート、パンツなども印象的。生地のさらりとした感触と、緩やかなドレープ感が清涼感を演出する。形がシンプルな分、色や柄で生き生きとした海の世界を表現。深海の生き物を思わせるヴィヴィッドなピンクやイエローといった色彩を単色で落とし込んだコートやパンツに加え、波立つ水や深海生物を抽象的な模様で描くプリントブラウス、ワイドパンツなどが登場する。