アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)は2022年春夏コレクションを、2021年11月22日(月)に東京・渋谷のレイヤード ミヤシタパーク内「or」にて発表した。
ランウェイには、コロッケや明日花キララ、田口淳之介、西山茉希、misonoらがモデルとして登場した。
2022年春夏シーズンのテーマは「歪曲」。“光と影”“正義と悪”といった相反する概念が世界の中で歪み、ねじれていく様をファッションを通して表現した。白と黒という2色の象徴的なカラーを使い、見方によってはイノセントにもダークにも見える、アンビバレントな装いを提示している。
シンボリックなモチーフとして、レリーフのような幾何学模様が様々なピースに用いられている。ジャケットやブルゾンの肩から身頃にかけてダイナミックにプリントされていたり、シャツの袖を覆うようにしてあしらわれていたりと、まるでトライバルなタトゥーのように幾何学模様が服地を彩っていた。黒のテキスタイルには白の模様が連なり、白の布地には黒の模様があしらわれているのを見ていると、決して交わらない白と黒がお互いに侵食しあっているかのようだ。
また、複数のモチーフを反復的に組み合わせて構築された幾何学模様は、抽象的なモチーフの羅列のようにも見える一方で、特定の意志や意図を示唆する曼荼羅のような記号にも見え、その点においても“二面性”を担うモチーフであることが推察される。
“黒と白”という強い色使いに対して、使われている素材の質感はしなやかなものが目立つ。ゆったりと仕立てたブルゾンにはシャイニーな光沢感の柔らかな生地を採用。シャツワンピースや生地をたっぷりと使った袴のようなワイドパンツは、落ち感のあるシアーな素材を用いて空気を含むように仕立てられている。また、波打つようなドレープ感を生かしエレガントに仕上げたオールインワンも散見された。
身にまとう空気感やデザインは強く硬質さを感じさせつつ、その佇まいは軽快さや柔らかさを携えているのが印象的だ。
アクオド バイ チャヌの得意とするファスナーを駆使したデザインは今季も健在。身頃を縦断するかのように、もしくは襟をぐるりと取り囲むように、大胆にファスナーを用いることで装飾的な要素を加えている。
分量感のあるブルゾンの袖に配されたファスナーを開けて着ると、袖がしなるように曲線を描いて変形。ファスナーの金属的な輝きと服地のフォルムが呼応するかのようにして存在感を増している。また、ポンチョには服地の端をなぞるようにしてファスナーを配置。揺らめく服地と直線的に配されたファスナーのコントラストが目を引く。