テルマ(TELMA)の2025-26年秋冬コレクションが、2025年3月21日(金)、東京・TODA ホール&カンファレンスにて発表された。
ある日のデザイナー 中島輝道は、夜の表参道という都会の中にいた。そこで感じたのは、日中は賑わい、人々の明るい声に溢れている街であっても、夜になると誰もいなくなり、静まり返るという奇妙さ。今シーズンは、そんなクリーピーな都会の夜を着想源に、完璧に作られた場所から人がいなくなるという風景に輪郭を与えていった。
夜にベッドに潜り込めば、夢を見て、深く意識の奥底に潜っていく。あるいは天蓋のような狭い空間の中におさまり、暗闇に包まれる。そんな夜の時間に着想を得て、序盤は重厚感あるダークトーンのルックを展開。漆黒のテーラリングが立て続けに登場し、ジャケットの下に合わせたブラやスカートの裾には、シルバーのビジューが煌めいている。窓の外で、星が瞬いているかのような情景を落とし込んだ。
夜が更けて、自身の意識もふわふわと浮遊するように、立体的なフォルムのスカートが登場。パニエを重ねているかのように、バルーン状のふくらみをみせている。
ロングコートやシルクのトップスにあしらった植物のプリントは、アール・ヌーヴォーの曲線的な動きをモチーフに。絡まるようにうごめく植物は、“どこか不気味である”ことを意識して違和感たっぷりに描き出し、クリーピーさを強調した。
夜のイメージから、イブニングウェアも製作。目を惹くのは、リバーレースとキルティングを組み合わせたドレスだ。特に上部のリバーレースでは虎を編んでおり、繊細でありながらも力強さをプラス。日本ならではの技術を取り入れる、テルマらしさが感じられるルックとなった。
加えて、夜空の主役たち、星を散りばめたドレスも。輝く星の刺繍を施した、光沢感のあるオーガンジーのスリップドレス、星のプリントをあしらったマキシドレスがよりエレガントなムードをもたらした。