展覧会「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界—反復と増殖—」が、京都市京セラ美術館にて、2025年4月25日(金)から9月7日(日)まで開催される。鹿児島市立美術館でも開催された巡回展だ。
世界的に活躍してきた前衛芸術家、草間弥生。草間は、ネット・ペインティングやソフト・スカルプチャー、鏡や電飾を用いたインスタレーションなど、多岐にわたる創作を展開するなか、版画も手がけてきた。展覧会「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界—反復と増殖—」は、草間の版画を大きく取り上げる初の大規模展となる。
本展では、世界最大級の草間コレクションを誇る松本市美術館所蔵の版画作品に、草間が所蔵する作品を加えた、約330点の作品を紹介。草間初の版画作品から、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作、近年の代表作「愛はとこしえ」シリーズまで、さまざまな版画とともに草間の軌跡をたどってゆく。
1929年長野県松本市に生まれた草間は、1957年、単身でアメリカに渡り、欧米で精力的に活動を展開。しかし、体調や心の不調を感じ、1973年に帰国している。初めて版画作品を発表したのは、1979年のことだ。当時の作品には、死や苦悩を想起させるものが数多く存在するものの、版画では対極的に、かぼちゃやドレスといった日常的なモチーフを色鮮やかに表現している。会場の序盤では、《靴をはいて野にゆこう》や《ドレス》といった版画作品を展示する。
渡米後の草間は、1959年、カンヴァスを網目で覆いつくした「ネット・ペインティング」により、画家としてデビュー。また、1965年頃からは、合わせ鏡によって光が無際限に増殖する「ミラールーム」など、電飾と鏡を使った立体作品の制作を始めている。草間は、カンヴァスや彫刻、空間を、網目や水玉で覆いつくすことで、自身の内的なイメージを作品へと昇華してきたのだ。このように、草間作品の特徴である「増殖」は、版画の「複製性」と通底するものであったといえる。本展では、かぼちゃを水玉や網目で表現した《南瓜》や、水玉が波打つように増殖する《波(1)》など、草間ならではの版画作品を目にすることができる。
2004年から草間は、約4年をかけて「愛はとこしえ」シリーズを手がけた。同シリーズは、黒色のマーカーペンでカンヴァスに描いた50点を原画としたシルクスクリーンであり、顔や目、植物といった具体的なモチーフが前面に押し出されている。会場の終盤では、のちにアクリル画の「わが永遠の魂」シリーズへと展開し、「毎日愛について祈っている」シリーズへと発展する起点となった、「愛はとこしえ」シリーズを公開する。
展覧会「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界—反復と増殖—」
会期:2025年4月25日(金)~9月7日(日) 前期・後期で全点展示替え
[前期 4月25日(金)~6月29日(日) / 後期 7月1日(火)~9月7日(日))]
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開場時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(4月28日(月)、5月5日(月・祝)、7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館)
観覧料:一般 2,200円(2,000円)、高校・大学生 1,400円(1,200円)、小・中学生 600円(500円)、未就学児 無料(要保護者同伴)
※( )内は、前売および20名以上の団体料金
※前売券は、2月28日(金)10:00から4月24日(木)23:59まで販売
※チケットは、美術館公式オンラインチケット、展覧会オンラインチケットなどにて販売
※障がい者手帳などの提示者本人および介護者1名は無料
【問い合わせ先】
京都市京セラ美術館
TEL:075-771-4334