展覧会「PARALLEL MODE:オディロン・ルドンー光の夢、影の輝き」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2025年4月12日(土)から6月22日(日)まで開催される。岐阜県美術館などで開催された巡回展のコンパクト展となる。
モノクロームから色彩へと軸を移しつつ、夢幻の世界を描き続けたフランスの画家、オディロン・ルドン。ルドンが活躍した19世紀後半から20世紀初頭にかけては、アカデミックな芸術に対して印象派や象徴主義といった新たな芸術潮流が起こるとともに、科学の発展が社会に大きな影響を及ぼした時代であった。ルドンはこうしたなか、新しい画題に取り組み、木炭画や石版画からパステル画や油彩画へと表現媒体を変えていったのであった。
展覧会「PARALLEL MODE:オディロン・ルドンー光の夢、影の輝き」では、ルドンの最初期から最晩年までの画業を紹介。世界有数のルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館の所蔵品を軸に、約110点の木炭画、版画、パステル画、油彩画などを通して、ルドンの創作の全容に光をあてる。
1840年フランス・ボルドーに生まれたルドンは、パリやボルドーで絵を学ぶ一方、自然科学、文学や哲学にもふれ、のちの芸術表現の素地となる思想を培ったという。1872年には再びパリに移住し、奇怪なモチーフが紡ぐ奇想の世界や、気球や電球といった当時最新の技術への関心を、モノクロームの木炭画や石版画で表現している。本展の第1章では、《絶対の探求・・・哲学者》といった木炭画や、ルドン流の進化論と言われる石版画集『起源』9点など、初期の作品を紹介する。
1890年代のルドンは、新たな人脈を広げてゆく一方、ナビ派をはじめ、若い芸術家から新しい芸術家の先導者として慕われるようになっていった。また、作品の主題は闇の世界から神秘的な光の世界へと変化している。油彩やパステル画の制作が始まったのも、この頃のことだ。第2章では、静謐な女性の横顔を繊細な光とともに表現した《光の横顔》や、色彩の探求が始まった時期に描かれた《まなざし》など、光や色彩への志向を垣間見られる作品を目にすることができる。
1890年代後半のルドンは、ナビ派の画家が取り組んでいた装飾的な絵画にも挑戦。神秘的な主題を引き続き手がける一方、神話、宗教、人物といった題材も取り上げている。なかでも「花瓶の花」は、晩年のルドンを代表するテーマとなった。技法面においても、種類の異なるパステルの重なりが織りなす光の効果や、油絵具を用いつつもパステルのような輝きを生む描き方など、表現を追求している。第3章では、《神秘的な対話》、《黒い花瓶のアネモネ》や《ペガサス、岩上の馬》など、色彩感あふれるパステル画や油彩画を展示する。
特に、晩年の主要な画題のひとつ「ステンドグラス」を描いた《窓》は、東京で初公開。ルドンは、黒の作品世界を展開していた頃より、窓から光が差しこむ情景をしばしば描いている。《窓》は、「黒」の作品に見られる光と影の表現を、色彩によって探るものであり、「黒」の時代と色彩の時代を架橋する作品だといえる。
展覧会「PARALLEL MODE:オディロン・ルドンー光の夢、影の輝き」
会期:2025年4月12日(土)~6月22日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F
開館時間:10:00~18:00
※5月2日(金)、6月6日(金)、6月20日(金)・21日(土)は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分まで
休館日:水曜日(6月18日(水)は開館)
入館料:一般 1,300円、65歳以上 1,200円、高校・大学生 800円、中学生以下 無料
※土・日曜日および祝日は日時指定予約制(当日空きがあれば入館可。平日は予約不要)
※障がい者手帳を提示者および付添者1名までは無料
※画像写真の無断転載を禁ずる。
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