ヘヴン タヌディレージャ アントワープ(HEAVEN TANUDIREDJA ANTWERP)の2025-26年秋冬コレクションが、東京ファッションウィーク会期中の2025年3月20日(木)、東京・青山で発表された。
ヘヴン タヌディレージャ アントワープは、ベルギーのアントワープでスタートしたファッションブランド。現在はデザイナー、ヘヴン・タヌディレージャの故郷であるバリ島に拠点を移し、1点1点、手作業にこだわったラグジュアリーな洋服を展開している。本当に良いと思うクリエイションを届けたいとの思いから、コレクション発表は不定期で行ってきた。
自身の内面、特に過去のトラウマや失敗にフォーカスして作り上げたという今シーズン。様々な感情を"形"で表現したかのような、構築的なシルエットのピースがコレクションを彩った。中でも目を引いたのが、折り紙のような蛇腹状のプリーツ。スカートやコートの裾に立体的にあしらわれ、彫刻芸術のような美しさを見せていた。
彫刻的、立体的、というと硬さを想起させるが、中には“構築的でありながらやわらかい”ルックも登場した。たとえば、シアーなオーガンザを重ねたドレスは、まるで妖精の衣装のようにエアリーで儚げ。ウエスト部分に羽のようなモチーフを装飾することで、軽やかな立体感をもたらしている。このように、厚手と薄手の生地を繰り返し提案しながら、コレクション全体に強弱をつけていたのが印象的だ。
ジュエリーデザイナーとしても活躍するヘヴンならではの、煌びやかなルックにも注目したい。ベアトップのドレスには、色とりどりのビーズや刺繍、スパンコール装飾をたっぷりとオン。このほかにも、シルバーやゴールドのチェーンをぶら下げたベルトや、襟にエレガントなビジューをあしらったデニムジャケットなどから、ジュエリーの華美なエレガンスが感じられた。
コレクションにロマンティックなアクセントを加えるのは、多彩なフラワーモチーフ。立体的な花々があしらわれたロングコートや、蕾のモチーフを配したスカート、煌めくゴールドの花びらが散るトップスなど、多彩な手法で解釈され、生き生きとした躍動感を生み出している。
コレクションを彩るシューズは、ヘヴンと20年来の友人である坂部三樹郎がデザイナーを務めるグラウンズ(grounds)とコラボレーション。ピンク、グリーン、ブラウンなど多彩なカラーの厚底シューズに、華やかなスパンコールの花を咲かせ、ロマンティックな風を吹き込んだ。