ディオール(DIOR)の2022年フォールコレクションで、マリア・グラツィア・キウリは、ユニフォームをフィーチャーした。差異を無くし、集団に溶け込むことを目的とするユニフォームを表現することは、逆説的に大胆なシルエットを生み出しやすくすることでもあり、複雑な交わりを表現することを容易に導くことでもある。
主軸となるスタイルはシャツにタイを合わせたフォーマルユニフォームの概念。そこにメゾンのエレガントなアイコンたちが交わり、マリア・グラツィア・キウリのフェミニンな解釈が加わっていく。
学生を彷彿とさせるクラシックなチェック柄は、大胆なイエローで解釈。クラシックなプリーツスカートは、アシンメトリーなレングスで仕立てられ、マニッシュなVネックニットは、今季の大きなモチーフであるロゴスタンプがあしらわれている。
ワークウェアのムードは、ワークシャツとペインターパンツのセットアップ、オーバーオールワンピースなどから読み取れる。トレンチコートは、メゾンにとってアイコニックな格子柄“カナージュ”がキルティングで施されたベストをレイヤードし、ミリタリーのエッセンスにエレガンスをひとさじ加えている。
そして男性的なスーツは、メゾンのアイコンが交わることで新たな姿を現した。ジャケットとパンツのスタイルにおいて、パンツはすべてハーフ丈で仕上げ、足元にはブーツを合わせるのが基本。華奢なベルトを2重に巻いたり、“カナージュ”のキルティングコートを羽織ることで女性らしさを演出している。
フェミニンで極めて女性的なラインを築くバー ジャケットのシルエットは、スポーツユニフォームの概念に引き継がれている。ウィンタースポーツを彷彿させる、ボリュームのあるダウンコートは、控えめなラペルにキュッと絞ったウエストで提案された。