ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2014年春夏コレクションは、16年間に渡りアーティスティックディレクターを務めた、マーク・ジェイコブスによる最後の発表となった。
会場内にある時計が開始時刻を告げると、鐘の音が鳴り響きショーが幕を開ける。そこにはメリーゴーランド、噴水、エスカレーターといった、これまでブランドのコレクションに登場した数々の演出が集結。壮大な音楽とともに、暗闇の中からモデルたちが姿を現す。
仏ヴォーグの編集長エマニュエル・アルト、ジェーン・バーキン、ベティ・カトルー、ココ・シャネル、ソフィア・コッポラ、カトリーヌ・ドヌーヴ、そして川久保玲など、これまでマークに影響を与えてきた、多くの女性たちに捧げられたコレクション。「明るく開放的な女性であっても、謎めいたミステリアスな女性であっても、彼女たちは皆、視覚的な言語を生き生きと表現し続けています」と彼は語る。
コレクションは、ほぼ全てのアイテムが黒。フェザーやビジュー、スパンコールによる華やかで繊細なディティールはブラックだからこそ、その存在感を増している。「私はものごとのあるがままの姿に喜びを感じ、美しい純粋な装飾を美しいとそのまま受け取って楽しんでいます」と話すマークは、パリを見渡したとき、街の深遠さではなく装飾に心を奪われるという。
重厚感のある装飾を調和させるかのように、素材はシースルーが多用された。薄手のロングドレスにデニムパンツを合わせたルックは、センシュアリティとカジュアルさを大胆にミックス。既存の概念にとらわれないマークのルイ・ヴィトン。それは、どこまでもラグジュアリーで遊び心に満ち溢れていた。