アタッチメント(ATTACHMENT) 2022-23年秋冬コレクションが、2022年2月1日(火)東京・四ツ谷でランウェイ形式で発表された。今季は、デザイナーの熊谷和幸からバトンを引き継ぎ、ヴェイン(VEIN)を兼任する榎本光希がブランドの舵を握るファーストシーズンとなる。
インスピレーション源となったのは、アメリカの美術家 ロバート・ライマンの傑作。“白の画家”とも称される彼の作品は、まっ白なキャンパスに白の絵を描くミニマリズムな画風が特徴だ。そんなライマンが掲げる哲学<何を描くかではなく、どのように描くか>を出発点にしたデザイナーの榎本は、新生アタッチメントのモノ作り・プロセスから改めて再考し、これまでよりもブラッシュアップしたコレクションを作成した。
同じ白を基調としていても、平坦であったり、でこぼこであったり、どこか乱暴に塗りたくっていたり…。そんなライマンの表現をなぞるように、ランウェイでは様々な表情のファブリックが目に留まる。柔らかなツイードのウール、薄手のウールシルク、つるっと滑らかな素材。そんな素材同士のテクスチャーを引き立てるかのように、今季はレイヤードスタイルが主流となる。
特に散見されたのは、首元にポイントを置いたレイヤードスタイル。とりわけシャツ同士を重ね合わせたルックは、襟がグラデーションのように重なり合うユニークな表情が印象的だ。またその多くがワンカラー、もしくトーンオントーンで提案されることで、素材同士の表情をより一層引き立て合っている。
コレクション全体を通してうかがえるのは、これまで同様、シンプルながらも、美しいシルエットが引き立つデザイン。けれど今季は、アタッチメントにしては珍しい、リラクシングなフォルムを採用したという。オーバーサイズのジャケットやニットウェアに合わせたのは、ゆったりとドレープが落ちる緩やかなパンツ。しかしそこにはルーズさを感じさせず、むしろ余裕を感じさせる都会的な空気が心地良い。
ディテールを極限まで取り除いたシンプルなデザインの中で、唯一存在感を放っていたのはシルバーのジップだ。ハードなイメージとは程遠い、繊細なラインと洗練された煌めきが特徴で、ベストやノーカラーのジャケット、時にはパンツのスリット箇所にあしらわれ、コレクションに確かなリズムをもたらしている。オールブラックのルックでは、ジップの開閉位置をずらすことで、まるでアクセサリーのように見立てたアレンジが印象的だった。