フェティコ(FETICO)の2022年秋冬コレクションが発表された。テーマは「The Figure:Feminine(その姿、女性的)」。
今季のインスピレーション源になったのは、1930年代ドイツの女性写真家/デザイナーのゲルトルート・アルント。バウハウスの建築科を志すも、女性という理由で入学許可が下りず、テキスタイルを専攻することになった彼女は、織物を通して、女性的な装飾美や柔らかさのある造形美を追求。写真家としては、代表作に自身を被写体としたセルフ・ポートレイト作品を持ち、美しくも前衛的な女性像を表現したことで知られている。
今シーズンのフェティコが描くのは、現代よりも女性であることの制約が多かった時代に、作品を通して女性らしさを愉しみ、フェミニティを探求したゲルトルートの強さ。彼女が追い求めた挑発的な女性像や装飾美、当時の男性社会の空気感、バウハウスのデザインなど、さまざまな要素からイマジネーションを膨らませた。
キーディテールは、ゲルトルートにクリエーションにオマージュを捧げた、過剰なまでの装飾。ドレスの襟や袖に施した、バラの刺繍レースが目を引く。胸元にはコルセットのディテールを取り入れて、女性らしいシルエットに仕上げた。
古くは男性的とされてきたアイテムから、女性性を引き出すアプローチも印象的。ショルダーを誇張したオーバーサイズのジャケットは、ウエストに切り替えデザインを施しており、マスキュリンなシルエットがフェミニンなディテールをより一層際立たせている。
カラーパレットは、ゲルトルートの作品からイマジネーションを膨らませたもの。フェティコを象徴するランジェリー風のドレスや、透け感のあるブラウスに、セピア色の写真を彷彿とさせるカラーを落とし込んだ。アッシュブラウンやチャコールグレー、ブラックといった落ち着きのある色彩にアクセントを加えるのが、色鮮やかな花柄のブラウスやスカート。このフラワー柄は、あえて輪郭をぼかすことでレトロなムードを演出したオリジナルプリントとなっている。