ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)の2022年冬コレクションが発表された。今季は、新クリエイティブ・ディレクターのマチュー・ブレイジーが手掛けるデビューコレクションとなる。
ラフ シモンズ(RAF SIMONS)やメゾン マルジェラ(Maison Margiela)、フィービー・ファイロ率いるセリーヌ(CELINE)、ラフ・シモンズによるカルバン・クライン(Calvin Klein)──世界中のファッショニスタが注目するトップブランドでキャリアを築いてきたマチュー・ブレイジー。2020年からは、「カセット」バッグなど数々のヒットアイテムを生み出し、“ボッデガグリーン”というトレンドカラーまで作り上げたダニエル・リー(Daniel Lee)の元で、レディ・トゥ・ウェアのデザイン・ディレクターを務めてきた。
そんな彼が紡ぐ新しいボッテガ・ヴェネタの物語。それは「何がボッテガ・ヴェネタを作るのか?」というブランドの真髄に迫る問いをもって幕を開ける。
まず目を引くのは、白のタンクトップやストライプシャツに合わせたカジュアルなデニムパンツ。実はこのパンツ、起毛させたレザー「ヌバック」にデニムのトロンプイユプリントを施したものだという。サイハイブーツに合わせたボーイフレンドシャツもまた、パンツと同様に「ヌバック」が採用されており、日常的でカジュアルなアイテムから、非日常のドラマチックなフォーマルウェアまで、コレクションを構成するあらゆるアイテムが“レザー”で仕立てられている。
ボッテガ──つまり手作業による鞄作りを行う工房としてスタートしたブランドの起源に〈問い〉の答えを求めたようだ。
大胆なカーブを描くジャケットやドレープを効かせたスカートなど、エネルギッシュなシルエットが繰り返し提案されたのも今季の特徴といえる。「未来派」のイタリア人アーティスト ウンベルト・ボッチョーニによる彫刻『空間における連続性の唯一の形態』から着想を得たというこれらのシルエットは、“力強さ”そのもの表現しようとした彼らの作品のように、コレクションに溌剌としたムードをもたらしていく。
カラーは、ブラックやブラウンといったベーシックカラーから、イエローやレッドなどの鮮やかな色味までバリエーション豊か。中でも、軽快なグリーンのドレスは、生地そのものの光沢感と相まって、フレッシュフルーツのようなみずみずしさを感じさせる。
今季は、〈実用性を兼ね備えたレザーグッズを中心に取り扱うブランド〉ということを改めて提示するように、バッグやシューズなどのアクセサリーも充実のラインナップで展開された。ブランドを象徴する編み込みモチーフ“イントレチャート”への新しいアプローチとして提案する「カリメロ バケット バッグ」をはじめ、枕のようにソフトなクラッチバッグ、イントレチャートやメタリックカラーのサイハイブーツなどが揃う。