ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。テーマは「It will be fine tomorrow.」。
「東京での生活に閉塞感を感じ、ものづくりの手が止まった」というデザイナーの吉田圭佑。「何か新鮮な感情に触れたい」――そんな気持ちで心機一転向かったのは、カナダ・バンクーバーの街だった。
1か月のカナダ旅行中、オーロラを見にホワイトホースにも行ったそう。だが、5日間のうち雲は1度も晴れず、結局オーロラは見えずじまいに終わった。そんな中、てるてる坊主を片手にロッジの管理人がかけてくれた言葉が、今季のタイトルでもある「It will be fine tomorrow.」だ。
厚い雲で見えずとも、その向こうにはオーロラがある。その状況が、閉塞感を感じていた自己状況と重なったという吉田。コレクションのファーストルックには、“きっと明日は晴れるはず”という希望と祈りを込めて、ビニール素材で“てるてる坊主”を表現した1着を登場させた。
今シーズンを象徴する、オーバーサイズのジャケットやダウンを組み合わせたスタイルは、バンクーバーでダウンを重ね着していた人々から着想したもの。極端なレイヤードには、「自分にとって当たり前じゃないスタイルも、違う環境では当たり前」という新鮮な気付きを反映したのだという。
ほかにも、カナダ滞在を機によく飲むようになったという炭酸水“ペリエ”のペットボトルを再構築したパンツや、ダウンタウンの落書きをグラフィックに落とし込んだワンピースなど、現地で見た景色やモノを大胆に取り入れた衣服が多数登場。雨が多いバンクーバーの気候を思わせる半透明のレインコートが、エッジーなアクセントを加えていたのも印象的だ。
素材感や柄使いにアクティブな「旅」の記憶が反映されている一方で、シルエットは引きずるほどのロング丈を基本とし、エレガントに。襟部分にドローコードを大胆にあしらったジャケットや、たっぷりとドレープを纏わせたコートなど、贅沢な布使いのアイテムが流麗な雰囲気を添えていた。