ディーゼル(DIESEL)は、2022-23年秋冬コレクションのショーを、東京ビッグサイトにて開催。ランウェイには、水原希子、Kemio、大平修蔵、ローレン・サイ、YAMATO、UTA、福士リナらがモデルとして登場した。
日本とディーゼルとの強いつながりを称える、今回のショー。真っ赤にライティングされた会場内には何体もの巨大バルーンが装飾されている。イタリア・ミラノで披露されたショーを思い起こさせるダイナミックなバルーンの数々は、まるでテーマパークに来たかのような非日常を空間いっぱいに充満させた。入場するや否やサプライジングな遊び心ある演出に、来場者たちは皆写真を撮ったり辺りを見回したりと楽しそうな賑わいを見せていた。
ショーは、アイコニックなレッドカラーに彩られた日本限定ピースから幕を開けた。浮かび上がるのは、"多種多様"というワードだ。デニム、ユーティリティ、ポップ、職人技という4つの要素を軸にしつつ、バラエティに富んだテクスチャーとシルエットが混在し相互に引き立て合っている。ルックのまとう雰囲気も、ヴィンテージ風とフューチャリスティック、ワークテイストの無骨なムードと繊細な華やかさがあるなど、色々なエッセンスがふんだんににミックスされていた。
注目したいのは、多彩なテクスチャーを実現させる“素材の加工”だ。例えばダメージ加工を施したヒップハングデニムにはじまり、ヴィンテージ風の風合いに仕上げたレザーブルゾン、服の上からまんべんなくスプレーを吹きかけたかのようなメタリックカラーのニットドレスやスカートなど、元々の素材から加工によって様々な表情を引き出したウェアが展開されている。
オーガンザをねじって立体感を生み出したトップスや、デニムを手作業で裁断し、ループ状にしてフェイクファーのようにあしらったダイナミックなガウン、艶やかなコーティング加工を施したアウターやパンツもまた、インパクトのあるピースだ。
また、前面を毛羽立たせたかのようなダメージデニムのコートや、壁から剥がれ落ちたコンサートのフライヤーを思わせるコート、デニムパンツは、時を経て風化したかのような佇まいに。破れたり綻んだりした生地ならではの落ち感やドレープを生かした、独特のエレガンスを帯びたシルエットも目を引いた。
加えて、大胆なシルエットとミニマムなピースのコントラストも印象的。トロンプルイユのボディスーツやタイトなセットアップ、シースルーのメッシュカットソー、ブラトップ、ベルトそのものをスカートとして身につけたマイクロなミニスカートなど、最小限にコンパクトなピースが展開された一方で、たっぷりと生地を用いてオーバーシルエットに仕立てたデニムコートや、すっぽりと身体を覆うムートンコートなど、あえてゆったりと仕上げたピースが登場している。
両極端なピースの個性をそれぞれ際立たせながらコレクションに組み込んでいくことで、多角的かつ流動的なスタイルを提示。多様なエネルギーが交差しぶつかり合うことで、自由な雰囲気がさらに強調されていた。