BiSやBiSHのアイドルプロデューサー、渡辺淳之介が手がけるネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS) 2023年春夏コレクションが、2022年8月30日(火)に発表された。
“カップ焼きそば”を食べるモデルが登場するなど、毎度ユニークなショーで話題を集めてきたネグレクトアダルトペイシェンツ。しかし今シーズンは、そんな麺を使用したお馴染みの演出も遂に卒業へ。「もう、麺はそろそろいいかと思った」と笑いながら語る渡辺が、次なる仕掛けと用意したのは“動くランウェイ”だ。
スタートの合図と共に現れた可動式のステージの上には、モデルがスタンバイしており、じわじわと観客席へと迫りくる。一体どんな服が見えるのだろう?というワクワク感とは裏腹に、どこか圧迫感のある演出に少々不気味さも感じざるを得ない。
そんなブランドらしいシュールな空気も纏いながらスタートした今季のコレクションは、ブラーやキンクスを筆頭に、英国のミュージックシーンを盛り上げた「ブリットポップ」がテーマ。イギリスに根強く残る階級社会の垣根を越えて、音楽の力でのし上がっていく労働者階級の若者たちをイメージソースにしたという。完成したのは、オーバーサイズが主流の従来のサイズ感をチェンジして、やや小さめかつタイトなシルエット。ラフな空気を内包しながら、どこか英国らしい雰囲気を宿したコレクションに仕上げているのが特徴だ。
今シーズンのテーマを最も体現しているのは、チェック柄の巻きスカート。ややポップなカラーで再解釈したそのピースは、トラッドなジャケットと組み合わせてみたかと思えば、ゆったりとしたパーカーと組み合わせてみたり…。またブランドの略称“NAP”を大胆に配したTシャツ×ジーンズというカジュアルな装いに、ぐるりと巻きスカートを付け加えたユニークなルックも存在する。
様々なチェック柄のネルシャツも散見された。タトゥーが覗く生身の肌に、シャツをラフに羽織ったモデルは、テクニカル素材のパンツと合わせてストリートスタイルに。一方で足元はというと、英国らしいオーセンティックな革のローファーを纏い、さり気なく今季らしい空気をプラスしている。
コレクション全体を俯瞰してみると、ひとつひとつのピースは実にベーシックで、日常に馴染むものばかり。イエローやグリーン、オレンジといったハイライトカラーのパンツが程よいアクセントをもたらし、現代にマッチするモダンな空気を添えている。
ショーのラストには、再び可動式のステージが動きだし、その裏でひたすら動きを操作していた黒子もステージにひょこっと現れる。仮面を取ったその正体は、なんと渡辺本人!最後まで観客をワッと驚かせる、遊び心たっぷりのサプライズと共にショーは幕を閉じた。
なお今回のランウェイにも、ネグレクトアダルトペイシェンツお馴染みのメンバーが集結。アユニ・D、リンリン、mikinaなどが登場した。