ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2023年春夏ウィメンズコレクションを、フランス・パリのルーヴル美術館にて発表。会場には、アーティスト フィリップ・パレーノが制作した脈打つ「モンスターフラワー」が登場した。
今季のコレクションのキーとなるのは、ディテールの拡大と強調。ウェアにあしらわれたジップやバックル、ボタンは極端に大きくなり、チェーンバッグにあしらわれたモノグラム・パターンも拡大。ミニバッグに対するLVロゴのメタルパーツは極端なバランスに変化し、レザーのキーケースは、鍵よりもはるかに大きなサイズになっている。
コレクション全体を通して行われているのは、ディテールにスポットライトを当て、その存在を強調することで、服やバッグなどのアイテム全体とそのパーツのバランスを改めて見直すという実践。構造をあえて揺るがし、見つめ直すことで本質を見据えようとする試みだ。
ドレスやトップス、スカート、パンツなど、様々なピースに大胆にあしらわれた巨大なジップは、1つのパーツでありながらその全体を象徴するかのような“主役級”の存在感を見せている。ベアトップのミニドレスには、コントラストカラーのジップを真っ二つに縦断するかのように走らせ、光沢感のある白黒のレザーをパネルで組み合わせたトップスやミニスカートは、真っ赤なジップが差し込まれることで、色彩にも物質的にもアクセントをもたらしている。
誇張されたパーツに呼応し、シルエットはよりシンプルになっている。ショルダーストラップのメタルパーツが目を引くミニドレスや、巨大なスナップボタンを並べたトレンチコート、大きく折りたたんだプリーツドレスなどはいずれも、緩急の少ない平坦なフォルムに仕立てた。
裾にベルトを通したミニドレスは、Aラインシルエットを採用することで大らかな布地のドレープとパーツの存在を強調し、レザーポケットとゴールドカラーのジップが際立つツイードジャケットは、肩や身頃を大きく取ることで、なだらかなラインを描くような造形に仕上げている。
また、“立体と平面”という対照的な表現のルックをそれぞれ登場させているのも印象的。膨張させた彫刻的な襟やディテールを配したトップスやワンピースは、均一に折り重なるギャザーに不意に立体的な要素が加わることで、独創的なリズムを描き出している。一方、艶やかなレザーのセットアップには、ジップやベルトのトロンプルイユをプリントでレイアウト。奥行きのあるグラフィックの質感と、フラットさの意表を突くバランスがユニークなデザインだ。