1960年代にアーティストへの転身。既存の写真を、シルクスクリーンによってカンバスに転写する技法を考案し、かの有名な『キャンベル・スープ』や『マリリン・モンロー』『エルヴィス・プレスリー』などが生み出される。主だった作品のほとんどを一挙に楽しめるのは、この回顧展の最大の見どころだ。
もうひとつ、この展覧会ならではの見どころとして特筆すべきは、ほぼ原寸大で再現されたウォーホルのアトリエ「シルバー・ファクトリー」。数々の名作を生んだニューヨークのスタジオ、通称「シルバー・ファクトリー」は内部が銀色のアルミホイルで装飾されていたことからそう呼ばれた。実験性、ハプニングに満ちたウォーホルの日々の創作活動を感じることができる空間を披露する。世界的なアーティストとして名声を手に入れたウォーホルは、絵画だけではなく、テレビ番組や雑誌の制作や映像制作、モデルなどその活動の幅を広げた。
タイトルとなった“永遠の15分”は「将来、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」というウォーホルの言葉から由来したもの。ビジネス・アートとして成功した彼の華々しい交友関係を象徴するのは「注文肖像画」シリーズだ。映画スターやファッションデザイナーをはじめとした有名人のシルクスクリーンとして展示されているのは、ヴァレンティノやエレーヌ・ロシャス、ダイアン・フォン・ファステンバーグ、マイケル・ジャクソン、モハメド・アリ、坂本龍一など著名人ばかり。