嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。「一度、お休みしたいです」と書き留めた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す――。
映画『ケイコ 目を澄ませて』は、三宅唱が監督を務めた映画。耳が聞こえない元プロボクサー・小笠原恵子の自伝『負けないで!』を原案に脚本を書き上げ、16mmフィルムに焼き付けた作品。劇伴を使用しない、環境音も細やかに設計するなど、“音”にまつわる演出も特徴的。