物語は、将来への夢もないまま無為な日々を過ごしていたウェイトレスの春野弓子の「私の人生にこの先、面白いことなど何ひとつ起こらないだろうと感じていたあの日…」というモノローグから始まる。“あの日”、いつものように老舗喫茶店で働いていた弓子は、人目をはばからず春画をじっと見つめるシブい中年男性と出会う。弓子に、春画とは何かを突然説き出し、詳しく知りたければ訪ねてこいと去っていく。常連の変わり者”春画先生”だという。この男、芳賀一郎は高名な春画研究家で、妻に先立たれ世捨て人のように春画の研究に没頭していた。春画への興味と芳賀に一目ぼれしてしまった弓子は芳賀宅をたずね、美と興奮の坩堝の春画講座を受けはじめる。いつしか芳賀に導かれながら弓子は、愛の冒険に飛び込んでいく。やがて芳賀が執筆する春画大全の編集者辻村や芳賀の亡妻伊都の姉一葉の登場で波乱の予感が…。春画研究家と弟子のコンビの物語が始まる!
映画『春画先生』は、塩田明彦が原作・脚本・監督を手掛けるオリジナル作品。変わり者の春画研究家・芳賀一郎役の内野聖陽と、しっかり者の弟子・春野弓子役の北香那が織りなす異色のコメディだ。