ケンゾー(KENZO)の2014年秋冬メンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
今季、デザイナーであるキャロル・リムとウンベルト・レオンが注目したのは、クラシックなものをくずしたり再解釈して表現するアメリカ北西部のカルチャー。1つ1つのピースをじっくり観察すると、確かに太めシルエットのスラックスやダブルブレストのコート、ショート丈のブルゾンなど、古きアメリカを感じさせるワードローブがコレクションのベースとなっていることが分かる。
しかし、そのクラシックさが一見して分かりにくいのは、大胆なひねりが加えられているから。そのひねりのひとつが、斬新なレイヤードだ。ジャケットとスラックスのセットアップスタイルの上からニットを被ったり、アウターに大きな襟を重ねたり、ニュアンスの全く異なるチェックのアイテムを合わせたりと、ユニークなレイヤードスタイルが多く登場。シャツの襟のビジューは、味気ない色合わせのコーディネートにさりげない華やかさを添えている。
そしてコレクションに変化を加えているもう1つの要素が、工業的なデザイン。オーキッドやライムカラーといった蛍光色、工具モチーフのグラフィック、X-Rayのネオンチェックなどの工場を連想させるようなデザインが、多くのアイテムに施された。鉄鋼作業服にインスパイアされたというセーフティブーツは、違和感すら感じるほどのハードなボリュームに。バッグも工具入れやメタリックシートを思わせるデザインに仕上げ、一貫したこだわりを見せた。
そんな無機質なイメージの中で行われたショーだったが、終盤に入ると突然、美しい景色を描いたグラフィックのアイテムが続いた。描かれたのは月と自然、工場。いつになくダークかつシンプルなスタイルでスタートしたコレクションだったが、最後にはケンゾーらしい色彩とユーモアに染められた。