展覧会「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」が山梨県立美術館で、2023年9月9日(土)から11月5日(日)まで開催される。その後、大分県立美術館、東京のパナソニック汐留美術館、兵庫の神戸市立博物館に巡回する。
「熱い」という意味のギリシア語「テルモス」に由来する“テルマエ”。狭義には古代ローマの皇帝らによって建設された大規模公共浴場を、広義には古代ローマの版図内の公共浴場全体を指す。4世紀に記された2種類の『ローマ市総覧』によれば、当時ローマ市内には大規模な公共浴場は11軒、小規模な公共浴場は856から951軒あったという。
「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」は、そんなテルマエを愛した古代ローマの人々の生活を、絵画・彫刻・考古遺物といった100件以上の作品や、映像・模型などの展示品を通して紹介する展覧会。会場では、実写映画化もされたヤマザキマリによる漫画『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが案内人となり、古代ローマのテルマエとともに、日本の入浴文化についても紹介する。
第1章「古代ローマ都市のくらし」では、当時の人々の日常生活にフォーカス。食事から、戦車競走、剣闘士試合、演劇といった娯楽、客を招いて催した饗宴など、あらゆる角度から古代ローマ都市のくらしについて知ることが出来る。
古代ローマの浴場は、若者たちが運動後に身体を洗うための水浴施設と、医療行為として神域に設けられた入浴施設という、古代ギリシアの施設をルーツの1つとしている。テルマエは、ローマ人にとって単に体を洗う場所というだけではなく、心身の健康を保つための場所であった。浴室のほかに、運動場やいくつもの部屋が付随していたことからも、複合娯楽施設としての性格も持ち合わせていたことが読み取れる。
「古代ローマの浴場」をタイトルに掲げた第2章では、運動後に身体を洗う際に使われていたストリギリス(垢掻き)などの展示品を通して、テルマエが古代ローマの人々にとってどのような存在であったかを紹介していく。
数多くの大理石彫刻が飾られていた、古代ローマの大規模なテルマエ。皇帝や浴場の建設者の肖像に加え、浴場にふさわしいとされる神々の像や古代ギリシアの有名作品のコピーなども並んでいたという。第3章「テルマエと美術」では、そんなテルマエに飾られていたアートにフォーカスする。
日本において入浴は、おおまかに、天然の温泉と人工的な施設で行うものとに分けられる。火山列島であるが故に豊富に温泉の湧く日本では、古くから各地の温泉が重要な資源として地域の住民によって守られ利用されてきた。一方、人工的な入浴施設は、仏教の寺院内に設けられ、汚れと穢れを清める場として広まっていった。
第4章「日本の入浴文化」では、日本の入浴に関する美術品や資料を一挙紹介。山梨の温泉にまつわる資料も展示し、地域の温泉の魅力についても触れていく。
【詳細】
展覧会「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」
会期:2023年9月9日(土)~11月5日(日)
休館日:月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
会場:山梨県立美術館 特別展示室
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
※展覧会、各イベントは延期または中止になる可能性がある。来館前に公式サイトを要確認。
※入場制限する場合がある。
観覧料:一般 1000円(840円)、大学生 500円(420円)
※( )内は20名以上の団体料金、県内宿泊者割引料金
※高校生以下の児童・生徒は無料(高校生は生徒手帳持参)
※県内65歳以上の入館者は無料(健康保険証等持参)
※障害者手帳所持者、およびその介護者は無料
■巡回情報
・大分会場
会期:2023年11月25日(土)~2024年1月21日(日)
会場:大分県立美術館(大分県大分市寿町2-1)
・東京会場
会期:2024年4月6日(土)~6月9日(日)
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F)
・神戸会場
会期:2024年6月22日(土)~8月25日(日)
会場:神戸市立博物館(兵庫県神戸市中央区京町24)
【問い合わせ先】
TEL:055-228-3322