青森の弘前れんが倉庫美術館では、開館5周年記念展「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」を、2期にわたって開催。1期は2025年4月4日(金)から7月7日(月)まで、2期は7月11日(金)から11月16日(日)まで。
2020年に開館した、弘前れんが倉庫美術館。5周年を記念して開催される「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」は、新しい「生態系」をテーマに、奈良美智や蜷川実花といったアーティストの作品や、津軽地方の人々の営みに連なる作品を紹介する展覧会だ。
「生態系」という言葉は、もともと自然環境における生命の循環を指していたものの、現在ではより広く、都市生活の構造に対しても用いられている。この意味で人間は、自らが生きる世界、つまり社会的な生態系を作りだすことができる存在でもあるのだ。
本展では、自分自身の身体や、動植物を含む他者と向きあうことで、新たな関係性を紡ぐ作家を紹介。自らがコントロールできないものに対する意識を起点に、身体に取りこまれる食べ物や、人間と動物が重なりあうような神話的イメージを描きだす川内理香子の絵画や刺繍、さまざまな場所の地下空間を滑るスケーターを捉え、普段は目にすることができない巨大な地下都市の存在を浮かびあがらせるSIDE COREの映像作品などを展示する。
また、津軽地方という土地の歴史や生態系にまつわる作品も。たとえば、渡辺志桜里は、人間の日常生活の傍に息づく生態系に目を向けてきた。本展では、植物や魚、バクテリアなどを生育する水槽を繋ぎあわせ、水を循環させることで生態系を可視化させる代表作《サンルーム》の新作を、津軽地方の生物に着目して発表する。
さらに、新たな生態系や未来のユートピアについて考えるという、本展のテーマに呼応するコレクション、地域の歴史や文化にまつわる資料も。旧陸軍第八師団の軍医であった祖父、弘前生まれの父の人生、そして土地の歴史をテーマに、フィクションとドキュメンタリーが交錯する小林エリカのインスタレーションなど、弘前れんが倉庫美術館の所蔵作品に加えて、こぎん刺しや土器といった、地域の歴史や文化にまつわる資料を目にすることができる。
開館5周年記念展「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」
会期:
・1期 2025年4月4日(金)〜7月7日(月)
・2期 2025年7月11日(金)〜11月16日(日)
会場:弘前れんが倉庫美術館
住所:⻘森県弘前市吉野町2-1
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜日(4月15日(火)・22日(火)・29日(火)、5月6日(火・振)、8月5日(火)、9月23日(火・祝)は開館)、5月7日(水)、7月9日(水)・10日(木)、9月24日(水)
観覧料:一般 1,500円(1,400円)、大学生・専門学校生 1,000円(900円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※弘前市⺠は当日料金より500円引き(割引の併用不可)
※以下は無料対象:弘前市内の留学生、満65歳以上の弘前市⺠、ひろさき多子家族応援パスポートの持参車、障がい者および付添者1名
■出品作家
川内理香子、小林エリカ、ユーイチロー・E・タムラ、渡辺志桜里、SIDE CORE、 工藤麻紀子、奈良美智、佐藤朋子、さとうりさ、ナウィン・ラワンチャイクン、ジャン=ミシェル・オトニエル、藤井光、大巻伸嗣、斎藤麗、永野雅子、細川葉子、畠山直哉、和田礼治郎、蜷川実花、松山智一 ほか
【問い合わせ先】
弘前れんが倉庫美術館
TEL:0172-32-8950