島根県立美術館では、コレクション展「結成70周年記念 奈良原一高《無国籍地》と「グループ“実在者”」の仲間たち」を、2025年4月17日(木)から7月14日(月)まで開催する。

奈良原一高と戦後の前衛画家集団「グループ“実在者”」

第二次世界大戦後における日本の写真を牽引した、奈良原一高(ならはら いっこう)。コレクション展「結成70周年記念 奈良原一高《無国籍地》と「グループ“実在者”」の仲間たち」は、島根県立美術館の所蔵作品のなかから、奈良原の最初のシリーズ「無国籍地」を公開するとともに、奈良原と前衛画家集団「グループ“実在者”」の関わりを紹介する展覧会だ。

奈良原一高の初シリーズ「無国籍地」50点を公開

奈良原は1956年、戦後日本の写真を大きく転換することになった初の個展「人間の土地」を開催している。しかし同展に先駆け、戦後の廃墟を撮影したシリーズ「無国籍地」には、奈良原の優れた資質がすでに現れている。本展では、大阪の砲兵工廠跡地と東京・王子の軍需工場跡地の廃墟を写した「無国籍地」50点を一挙公開する。

奈良原とグループ“実在者”の関わり

奈良原は、初個展「人間の土地」で写真界に突如現れたように捉えられてきたものの、実際そこには、当時前衛美術の動きのただなかにいたという背景があった。それが、1955年、靉嘔(あい おう)や池田満寿夫(いけだ ますお)、堀内康司(ほりうち こうじ)、真鍋博(まなべ ひろし)ら4人の画家によって結成された「グループ“実在者”」である。戦後の重要な前衛画家集団であるこのグループに、奈良原は客員として参加していた。

「グループ“実在者”」のひとりである堀内は、自ら作品を描いていた王子の廃墟へと、自身の仲間を案内している。奈良原は当時、大阪の廃墟をすでに撮っており、王子の撮影を経て「無国籍地」シリーズを生みだすことになったのであった。本展では、奈良原と「グループ“実在者”」の関わりを紹介。とりわけ、奈良原の「無国籍地」と同じ廃墟を題材とした、堀内の《廃墟》といった絵画を展示する。

展覧会概要

コレクション展「結成70周年記念 奈良原一高《無国籍地》と「グループ“実在者”」の仲間たち」
会期：2025年4月17日(木)～7月14日(月)
会場：島根県立美術館 コレクション展示室4
住所：島根県松江市袖師町1-5
開館時間：10:00～日没後30分(展示室入場は日没時刻まで)
休館日：火曜日(4月29日(火・祝)、5月6日(火・振)は開館)
観覧料：一般 300円、大学生 200円、小学・中学・高校生 無料

【問い合わせ先】
島根県立美術館
TEL：0852-55-4700