企画展「岡本太郎と太陽の塔—万国博に賭けたもの」が、神奈川の川崎市岡本太郎美術館にて、2025年4月26日(土)から7月6日(日)まで開催される。

岡本の思想から探る《太陽の塔》

1970年、「人類の進歩と調和」をテーマとする大阪万博において、岡本太郎は会場中心の《太陽の塔》を手がけた。《太陽の塔》は建設当時、モダニズムとは相容れない外観で議論を呼んでいる。また、内側の構成も、万博のテーマに異を唱える岡本の考えを反映するものであった。

岡本はのちに、「近代主義に挑む。何千年何万年前のもの、人間の原点に帰るもの。人の眼や基準を気にしないで、あの太陽の塔を作ったんだ」という言葉を残している。企画展「岡本太郎と太陽の塔—万国博に賭けたもの」は、岡本の思想から《太陽の塔》を探る展覧会。岡本が撮影した写真、油彩画や彫刻など約130点を交えつつ、塔が作られた過程に光をあててゆく。

人類に通底するものを探る

《太陽の塔》の地下空間は、「過去・根源の世界」を表現する幾つかのゾーンに分かれていた。そのうち「いのり」の空間では、人類の心の奥深くに通底するものとして、世界各地で収集した仮面や神像など、民族資料を展示していた。祭壇を彷彿とさせる展示プランも、岡本の発案によるものである。

こうした発想の背景には、岡本の足跡があるだろう。岡本は、パリで暮らした20代に民族学を学び、帰国後も、日本各地の祭礼・神事の取材と執筆活動を通して、自身の考えを深めていった。こうしたなかで岡本は、ただの「お祭り」と、人間の誇りと生きる歓びを爆発させる神聖な「祭り」を区別し、万博はその後者であるべきだと考えたのだ。

《太陽の塔》内外ができる過程をたどる

本展では、岡本が「縄文」を発見したのち、各地のフィールドワークで撮影した写真を展示するとともに、《太陽の塔》の制作記録、《明日の神話》などの同時期の作品を通して、塔ができあがってゆく過程を紹介。また、世界各国の仮面や神像といった民族資料も展示し、岡本が《太陽の塔》の地下空間で表現しようとした「人間の原点」を探ってゆく。

展覧会概要

企画展「岡本太郎と太陽の塔—万国博に賭けたもの」
会期：2025年4月26日(土)〜7月6日(日) 会期中に展示替えあり
［前期 4月26日(土)〜6月1日(日) / 後期 6月3日(火)〜7月6日(日)］
会場：川崎市岡本太郎美術館 企画展示室
住所：神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
開館時間：9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日：月曜日(4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)・8日(木)
観覧料：一般 900円(720円)、高校生・大学生・65歳以上 700円(560円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金

【問い合わせ先】
川崎市岡本太郎美術館
TEL：044-900-9898