企画展「カラーズ ー 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」が、神奈川・箱根のポーラ美術館にて、2024年12月14日(土)から2025年5月18日(日)まで開催される。
企画展「カラーズ ー 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」は、近代から現代までの美術における「色彩」に着目する展覧会だ。19世紀の印象派や新印象派に始まり、20世紀のフォーヴィスムや抽象絵画、そして色彩の影響力によって鑑賞者の身体感覚に働きかける現代アートにいたる、色彩の展開をたどってゆく。
本展では、ポーラ美術館の名品を中心に、近年新たに収蔵した初公開作品10点を含む、絵画や彫刻、インスタレーションなどを紹介。印象派のクロード・モネ、新印象派のジョルジュ・スーラ、フォーヴィスムのアンリ・マティス、そして現代美術家の草間彌生や杉本博司、ゲルハルト・リヒター、トモ コイズミ(Tomo Koizumi)を手がけるファッションデザイナー小泉智貴などによる、多彩な作品を目にすることができる。
本展では、近代から現代にいたる色彩の美術史を、主に絵画や彫刻を通して紹介。ヨーロッパの伝統美術では、色彩はものを立体的に描きだす重要な手段と見なされてきた。しかし近代以降、色彩には、独立した表現の可能性が見出されることになった。その例として、クロード・モネをはじめとする印象派の画家や、色彩を描く対象から解き放ち、画面における色彩の調和を重視した、アンリ・マティスらフォーヴィスムの画家を挙げることができる。
近代美術における色彩表現の探求は、第二次世界大戦後の美術にも影響を与えることになった。大画面に色彩の広がりを作りだす、ケネス・ノーランドらによるカラーフィールド・ペインティング、色彩や形態をきりつめた、アド・ラインハートのタイムレス・ペインティングなどは、その例だといえる。このように、カンヴァスなどの支持体を色彩で覆い尽くすことで、既存の絵画の枠組みを解体しようとする動向が生まれたのだ。会場では、近代から現代にかけての色彩表現の展開を、マティスの《リュート》やリヒターの《ストリップ(926-3)》といった作品とともにたどってゆく。
本展では、現在活躍している国内外の作家による、色彩の表現にもフォーカス。戦後の抽象表現主義を代表するモーリス・ルイスなどに目を向けつつ、独創的な方法によって色彩の動きを画面に定着させた丸山直文やグオリャン・タンをはじめ、草間彌生の《無限の鏡の間 —求道の輝く宇宙の永遠の無限の光》、杉本博司の写真作品「Opticks」シリーズ、小泉智貴によるラッフルドレスなどを展示する。
また、色彩論や、色を表現する素材との関係にも着目。19世紀初頭のフランスでは、色を科学的に解明する「色彩論」が発達、補色といった色の組み合わせや新たな色彩の効果が見出された。こうした色の科学は、現代のデジタル技術にも活かされている。また、20世紀前半には、合成顔料の開発による鮮やかな油絵具や、アクリル樹脂を使用した絵具などの研究が進み、戦後には新しい絵具による表現が切り拓かれた。本展では、こうした視点とともに、美術表現における色彩の役割に光をあててゆく。
企画展「カラーズ ー 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」
会期:2024年12月14日(土)~2025年5月18日(日) 会期中無休
会場:ポーラ美術館 展示室1・2・3、アトリウム ギャラリー
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般 2,200円(1,900円)、大学・高校生 1,700円(1,400円)、中学生以下 無料
※障害者手帳の所持者および付添者(1名まで)は、各1,100円、中学生以下 無料
■出品作家
杉本博司、ウジェーヌ・ドラクロワ、クロード・モネ、ジョルジュ・スーラ、ロベール・ドローネー、ワシリー・カンディンスキー、アンリ・マティス、モーリス・ルイス、ヘレン・フランケンサーラー、ケネス・ノーランド、アド・ラインハート、ダン・フレイヴィン、ドナルド・ジャッド、ゲルハルト・リヒター、ベルナール・フリズ、白髪一雄、田中敦子、桑山忠明、前田信明、草間彌生、ヴォルフガング・ティルマンス、丸山直文、グオリャン・タン、山口歴、流麻二果、門田光雅、坂本夏子、山田航平、川人綾、伊藤秀人、中田真裕、小泉智貴、山本太郎 ほか
【問い合わせ先】
ポーラ美術館
TEL:0460-84-2111