ユリウス(JULIUS)は2014年6月26日(木)、2015年春夏コレクションをフランス・パリで披露した。インスピレーション源は「Black Painting」シリーズで知られるウェイド・グイトン、写真家のジョセフ・クーデルカ、ロシアの美術家・彫刻家のナウム・ガボの作品、そして新世紀エヴァンゲリオン……。その4つの時代とジャンルの異なる作品からの閃きを、いつもの黒と白の世界観の中に落とし込んでいる。
特筆すべきは、人体の構造を完璧に無視しした幾何学的なパターンにある。プルオーバーのレザージャケットは、建築の製図を描いたかのような直線的な切り替えが縦横無尽に走っている。三角形のモチーフを取り入れたテーラードのレザージャケットは、並のロックスターでは着こなせそうにない迫力に満ちている。
パンツは超スキニー、サルエル、カボチャパンツっぽいレザーショーツとレギンスの重ね着。シューズは、ソールサイドのゴムが極端に上まで伸びているブーツとエナメルとレザーを組み合わせた厚底のボリューミなーブーツだ。
素材と加工はレザー、フィルム、ゴム、コーティングなどで、金属的で無機質な雰囲気を演出。「V」型のストライプ(おそらく織り)は、エヴァンゲリオンの胴体を連想させる。銀髪の髪型も渚カヲルをイメージしたものだろう。人の遺伝情報を元にアダムより生み出された人とアダムのハイブリッドであるカヲルは、2014春夏のテーマである「アダムとイブ」ともリンクしている。
4つのインスピレーション源にプラスして、今回のコレクションは先日逝去したスイス人の画家・デザイナーのハンス・ルドルフ・ギーガーに捧げるコレクションでもあった。映画エイリアンのデザインで知られる彼のフィルムの中の作品と、堀川によるランウェイの上の作品が屈折した光の中で重なって見えた……。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)