イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、2025年春夏ウィメンズコレクションをフランスのパリ花公園にあるパビリオンにて発表した。
紙の美しさ、「The Beauty of Paper」がテーマの2025年春夏シーズンは、紙を目にし、触れた時にもたらされる感覚を探求。和紙を中心に、紙にまつわる素材を用いたコレクションを展開する。クリエーションにあたり、紙の歴史から作り方、手仕事に至るまでリサーチ。紙の感触や風合いを彷彿させるような、親しみやすく詩情あふれるウェアを揃える。
コレクションの出発点となったのは、紙衣(かみこ)のルック。日本人の生活に古来より根付いている和紙の歴史を紐解いていく過程で試作から生み出されたピースであり、麻の細かい繊維を原料とする麻紙(まし)で作られている。紙ならではの細やかなシワ感や、ゆったりとひるがえるテクスチャーを生かしたオーバーシルエットのロングコートや、紙を折った時の平面的な形をデザインに落とし込んだジャケットが披露されている。
和紙素材をもとにアレンジを加えて発展させた、個性豊かな素材にも注目だ。たとえば、箱や折り紙のように、折り目から立体を生み出したジャンプスーツには、和紙の糸とレーヨン・シルクの糸を織り合わせた生地を採用。和紙の伸縮性はそのままに、より軽くしなやかさが生まれ、身体になじみながらも優雅なドレープを描いている。
大麻のタテ糸にモヘア・ウールのヨコ糸を掛け合わせた布地で仕立てたコートは、紙のように平面的に折りたたむことのできる1着。淡いラベンダーカラーは先染めによるもので、均一ではない、色味の繊細な差異が味のある風合いを生み出している。また、形も素材も"紙袋そっくり”のショッパーバッグも登場。和紙の糸で作った素材をプレスし、紙の風合いと日常使いに耐えうる耐久性を実現させた。
"触れる”という感覚に意識を向けさせるようなウェアも印象的。流動的なフォルムで顔と体を覆うシアーなドレスやブラウスは、「水」そのものを一枚の布で表現したもの。生地を内側で部分的に留めることで、水のゆらぎを思わせるようなフォルムを生み出している。触れるとあふれ、したたる水の質感と呼応するかのような、柔らかなタッチにも注目だ。また、緩やかなプリーツが身体にフィットするドレスや、紐で固定することでたっぷりとした布地の分量感を生み出したホルターネックのトップスも、テクスチャーへの集中を促すようなピースだといえる。
さらに、服に服を重ねたようなピースや、服の立体と平面が一緒くたになっている無縫製ニットのウェアは"袖を通して着る”、という行動そのものを再考させるようなデザイン。たとえば、ネックから白い襟が見えるブラックのニットは、首を通す襟の空間が平面化されており、後ろ身頃であるはずの空間に体を通して着用。また、トップスとアウターを一体化させたピースや、2枚のTシャツを連ねたようなトップスなど、遊び心あふれる造形が散見された。これらのピースは身体を通すパーツや前後を変えて着ることができ、自在な着方を実践することができる。
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