ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)の2025年夏コレクションが、フランス・パリにて発表された。
作家で野鳥観察家のジョナサン・フランゼンの著書「地球の果ての果て(The End of the End of the Earth)」にインスピレーションを受けたという今季のステラ マッカートニー。幸福を象徴する白い鳩をプリントしたトップスやバルーンスカートのワンピースをはじめ、羽ばたく2羽の鳥を表現したゴールドとシルバーのジュエリーなど、鳥たちへの敬意をあらわすピースが散見された。
コレクションの要となるのは、過度な装飾を避け、テキスタイルを主役に据えたルックの数々。カラーパレットは、グレーやベージュ、ホワイト、ブラックといったベーシックカラーをメインに構成され、オーガニックシルクやシフォン、ヴィーガンレザーといったこだわりの素材感を引き立てていた。
特に目を引いたのは、力強いシルエットを浮かび上がらせるテーラリング。ダブルブレストコートやジャケットは、いずれも大胆なパワーショルダーが特徴的で、オーバーサイズのベルトループをあしらった量感のあるトラウザーやショート丈のキュロットも登場した。部分的に誇張したシルエットと春夏らしい薄手の素材を合わせることで、パワフルかつ上品なムードを体現している。
生地の豊かな表情を存分に楽しむルックも印象的だ。たとえば、ホワイトやライトブルーのシアー素材は、ワンピースやトレーンドレスに採用。素材が持つ透明感と身体をふんわりと覆うようなシルエットが相まって、エレガントな雰囲気をもたらす。また、流れるようなドレープのアシンメトリードレスは、光の加減によって煌めくラメが異なるニュアンスを見せていた。
フェミニンなアクセントを添えるのは、ヴィンテージランジェリーに着想を得たシルクボディスーツやガウン。スカラップレースのカットアウトを施したボディスーツは、前述したパワーショルダーのジャケットと合わせられ、よりセンシュアルな魅力を際立たせている。
新たなアイコンバッグ「ステラ ライダー(Stella Ryder)」にも注目。馬の背中を思わせる曲線的なボディを採用するなど、動物の美しさや力強さを讃えたバッグだ。ホワイトやレッドの明るいカラーに加え、ボストンバッグのようなボリュームのあるサイズが登場した。
また、アディダス(adidas)とのタッグによるショートブーツ丈のシューズ「ステラ マッカートニー×アディダス ラサント トレーナー」もお目見え。ヴィンテージのレーシングシューズに着想を得ており、後ろに束にして連ねたカスケード状のシューレースが、歩みを進めるたびに有機的な動きを見せる。