ロク(ROKH)の2025年春夏コレクションを紹介。
2016年に誕生した「ロク」は、韓国出身のロク・ファンがデザイナーを務めるブランド。ロンドンのセント・マーチン美術大学を卒業後、セリーヌ(CELINE)でデザイナーとして働いたロク・ファンは、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)やクロエ(Chloé)でもデザインを手掛けた経歴の持ち主だ。
「ロク」では、マニッシュとフェミニンのコントラストから生まれる美しさにフォーカス。脱構築的なシルエットも特徴的で、クラシカルで馴染みのあるウェアに、唯一無二の個性が光るアレンジを多く取り入れている。
今季もその特徴は顕在。たとえばファーストルックでは、見頃に深いスリットを入れたテーラードジャケットが披露され、切り込みから姿を覗かせるシアーなテキスタイルが、爽やかな息吹をもたらした。また、一部をレース、あるいはストライプシャツのようなテキスタイルで切り替えたトレンチコートも登場。同様に、ショルダーや見頃にはスリットが入れられ、意表を突くセンシュアルな魅力を携えた。
シルエットは、インパクトのあるボリューミーなスタイルが主流。大きな花のモチーフを連ねた立体的なトップス、ボタンでつなぎ留めた量感のある生地を折り返したジャケットなどが登場した。
また、フリルとギャザーを多用したオフショルダートップスやチュニックをジャケットに重ねるなど、常識にとらわれないレイヤードスタイルも目を奪うシルエットの完成に一役買っている。
衣服を構成するパーツに動きをもたせたような“捻じれ”のディテールも印象的だ。ボタンを散りばめたジャケットや、らせん状のラインを描くプリーツスカートなどがその好例で、どこか神秘的なムードを漂わせた。ジャケットでは裾の周りにプリーツ状の装飾を大胆に配すことで、さらに遊び心を感じさせるデザインに仕上げている。