CFCL(シーエフシーエル)の2025年春夏コレクションが、フランス・パリにて発表された。テーマは「Knit-ware Handbuilt」。2022年よりパリ・ファッションウィーク公式カレンダーに参加してから、ランウェイショーの実施は2度目となる。
これまで、3Dコンピューターを駆使したニットウェア作りと向き合い、着る人に合わせてフィットするニットならではの実用的な動きに着目してきたCFCL。今季は、世界各国や地域で脈々と受け継がれてきた「手仕事」にフォーカス。コンピューターだけでは生み出せない、温かく情緒あふれる表情を見出した。
あくまでも3Dニットをベースに、今シーズンは様々な「手仕事」を加えてブラッシュアップしているのがポイント。たとえば、アフリカやシルクロードの国々などに見られる民族衣装に着想を得た、平面的なシルエットをドレスやトップスなどに取り入れた。広げるとただの長方形に見えるが、身体に通すことでゆるやかなドレープが生まれ、ぴったりと、それでいて心地よく身体にフィットする。
薄くて軽やかな国産シルクを用いたドレスやセットアップを彩る、力強いサイケデリックのモチーフは、日本の伝統的な染色技法「注染」が着想源。「注染」とは、布の染めない部分に型紙で糊をつけ、一度に複数の色を用いて糸自体を染め上げる技法を言う。まるで万華鏡のような柄は、パキッとした鮮やかさがありながらも、ややにじんだような、独特の風合いが魅力だ。
ドレスやスカートの裾部分、ビスチェに用いたのは、フリンジの装飾。短冊状に編み立てたフリンジは、プログラミングで開けた小さい穴にひとつひとつ手作業で通され、ボリューミーさを生みながら軽やかに揺れる。
フリンジをあしらったスカートには、カセットテープのテープを再利用して編んだビスチェをコーディネート。テープ表面にはコーティングを施し、より煌めきをプラスしているのが特徴だ。
ちらりと肌を覗かせるパッチワークニットドレスが登場したのも印象的。機械を使わず「人の手」により、自由な形を模索しながら生み出した有機的モチーフを採用し、ストレートシルエットのドレスに仕立てた。