ニューヨークで発表された、N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)の2015年春夏コレクション。
得意分野である時代背景にとらわれず、新たな視点でテキスタイルや着心地に向き合った。そう公言するほどに、今季のN.ハリウッドはチャレンジングだ。それは単に突飛であるだとか、奇抜であるといったことではなく、自らの過去に囚われないデザインだという意味で。
コレクションでは、自然の中に存在する生命の力に焦点を当てている。その最たる例となっているのが昆虫のモチーフ。例えばハチやカミキリムシなどが、Tシャツやショーツ、パーカーなどのアイテムには大きく落とし込まれているし、今回を象徴するパターンである迷彩柄の中にも昆虫は紛れ込んでいる。遠目からはストリートペイントのように見えるレッドやブルー、グリーンが鮮やかなグラフィックでさえ、近くで見れば分かるように、カナブンをはじめとする昆虫の集まりを描いたものなのだ。
それでは斬新なのは昆虫モチーフなのかと言うと、もちろんそうなのだけれど、今回「N.ハリウッドの可能性を広げた」と表現したデザイナーの真意はおそらく別の部分にある。一番考えられるのは、新たに無機的な要素を取り入れている、という点だ。
今までのN.ハリウッドは、クラシカルなアメリカのカルチャーを取り入れたスタイルに定評があって、その中には着古したようなこなれ感や、素材のあたたかみに良さがあるという側面も強かった。しかし今季は、ハンティングウェアやアウトドアウェアに使われるような軽量素材を多用しており、これまでのような良さも残しつつ、いくぶんスポーツのテイストも加わった。ハチの映った画面を拡大したようにも見える、大胆かつデジタルなグラフィックは、そうした無機的なイメージから発想を広げていって生まれたのだろう。
そんなショーでは、無機質な素材を用いつつ、至ってラフなストリートスタイルを展開した。Tシャツ×ショートパンツのカジュアルなルックもあれば、ロングコートにテーパードパンツ、サンダルを合わせた抜け感のあるルックや、スポーツ素材のセットアップに流行のバケットハットをかぶったヒップホップ風のルックも。ニットやブルゾンをはじめ、着回しに使えそうなベーシックなアイテムも多く登場した。