ロンドンの注目若手デザイナーとして期待を集めるハンナ マーシャル(Hannah Marshall)の2011S/Sシーズンコレクション。
ヴィジュアルアーティスト、RANKINによるコンセプチュアルなショートフィルムでスタートした今期のコレクションのテーマは「Strict Machine(精密な機械)」。「コントロール」、「プライバシー」、「テクノロジー」、の3つがキーワード。
黒とコンクリートのような淡いグレイの2色のみで構成されたコレクションは、構築的で力強く、緻密に設計された建築のよう。抑制されたフォルム、色調、プロポーションが強烈なビジュアルとインパクトをもたらして、ハナ マーシャル独自のミニマリズムの世界を創り出す。
素材はラグジュアリーなスエード、レザー、薄いシルクのクレープ生地。黒のミニドレスに重ねられたシースルーのロングドレス、美しいシルクを使ったマニッシュなテーラードジャケット、ストッキングのような薄い素材でぴったりと包み込まれたハイヒール―精緻に計算された禁欲的なシルエットに、官能的な布使いで、抑圧されたセクシャリティーを表現。デザインそのものの美しさに、職人気質あふれる仕立てのよさが合わさって、黒鳥のようなエレガンスが生み出されている。現代アーティスト、ブライアン・デトマー(Brian Dettmer)の作品からインスパイアされたという、四角のパネルが幾重にも重なってできた彫刻のようなモチーフは、硬質的なグレイのドレスに静謐な息遣いを与えていた。