タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)が、2015年春コレクション「#0011」を発表した。楽器を演奏する前のように、洋服にもチューニングが必要であるという、デザイナーの宮下貴裕の考え方から生まれた今季のワードローブ。着方だけでなく、サイズの概念を取り払ったり、はさみを入れて袖を切り落としたりと、“調律”するように洋服に手が加えられている。
まず注目したいのは、サイズ感。例えば、宮下が着用する46サイズは通常の寸法ではなく、おおよそ52サイズぐらいの大きさだ。その日、その時間によって、ボタンをどこまでとめるのか、ベルトでウエストを絞るのかなど、小さな選択を行い、アジャストすることができる。シルクコットンのジャケット、チェスターコート、ナポレオンジャケットなど、多くのアイテムには、ジュエリーブランド「END」のデザイナー上田勝によるバックルがつけられ、サイズの調節が可能。どれも立体的に仕上げた3D刺繍のラインがあしらわれ、、アクセントになっている。その他、思いきって袖をカッティングした、スリーブレスのセーラーマンジャケットは、切り口から中綿が少し見えた大胆な仕上がり。カラーは優しい色味のグレージュを中心に、ネイビー、ブラックなどが中心となる。
パジャマシリーズは、さらりとしたシルクで登場。トラッドなピンストライプと無地のジャケットは薄手なので、セットアップのパンツにインして着ることができる。ハーフパンツとフルレングスパンツの履き口からのぞくライニングも、リラクシングなボトムに個性的な表情をプラスした。上質な素材も切りっぱなしで洗いをかけ、ほつれた糸をたらしてラフに見せるところがブランドらしい。
またコットン、リネンを用いたナチュラルな仕上がりのシャツやポンチョも展開。ノースリーブのシャツにはギターのピックガードを思わせるステッチや、Gジャンの丸カンをイメージした刺繍があしらわれた。
レザーアイテムは、「エントルフィーノ」というラムレザーを使用したストレッチ性のあるスキニーパンツが5色揃うほか、革端を使用した表情豊かなフルレングスパンツやショーツなどがラインナップしている。またフット ザ コーチャー(foot the coacher)の竹ヶ原敏之介が制作に携わったシューズは、「Kudu」と呼ばれる動物の滑らかなレザーを用い、スリッポンとレースアップブーツが登場した。
「演者たちにそれぞれの様々なチューニングで演じてもらいたい」という宮下の想いが詰まった今季のコレクション。今ある服の在り方にとらわれず、体型や個性、ライフスタイルに合わせて、自分だけのスタイリングを創る楽しみを伝えていた。