2014年10月20日(月)、東京・渋谷にあるWOMBにて、ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)が2015年春夏コレクションを発表した。
2年ぶりとなるランウェイショーのテーマは、「Concrete Jungle Survivor」。会場には、鉄のパイプが不規則に並び、さらに今コレクションのキーポイントとなる、グラフティアートが飾られていた。スモークがたかれ、怪しげな雰囲気の中、ショーは幕を切った。
印象的なのは、ネオンオレンジ、イエロー、レッドのカラーで、1つ1つ手書きで描かれたグラフティーぺイント。このショーへ向けて、デザイナ―の中里唯馬は、都内で活動するグラフティーぺインターやグラフティーを専門に撮影するフォトグラファーなど、約5名にインタビューを行った。そこで出会ったアーティストの作品や、自身がスプレーで描いた作品が散りばられたアイテムは、独特の力強さを感じさせる。
また、スウェットやジャケットにランダムに貼り付けられた、「リアルストーンファブリック」も目を引く。これは、ドイツ製の建築資材で柔らかい石をスライスしたもの。その上にスプレーアートを施し、ベーシックなアイテムにポイントをプラス。
グロテスク且つ不気味な雰囲気を与えるのは、モデルが身に着けた仮面。登場したモデルすべての顔を、3Dプリントでスキャンして断裁し、コラージュして作成した。仮面の一部のパーツは必ず本人のものを張り付けることで、大都会の人混みで身を隠す若者の姿が表現された。また2011年春夏コレクションより訴え続けている、ジェンダーレスの要素は、三つ編みやポニーテール、ロングヘア―で表現。
「90年代のストリートファッション全盛期のときに、ファッションに出会い、のめり込んでいった」と語る中里。ノースリーブシャツに太いパンツを合わせたコーディネートや、オーバーシルエットのスウェットトップスに細みのパンツを合わせたスタイルなど、ストリートスタイルを象徴するようなルックが多く展開された。
ショー後のインタビューでは、「やっと目指すところがみつかりました。若者にファッションの楽しさを届けたい」と目を輝かせて語った中里。ファストファッションが根付く現代。いまの10代から20代の若者たちに、自身がもっとも影響を受けたストリートファッションのおもしろさ、また自分で洋服をリメイクする楽しさを訴えかけるような、エネルギーのみなぎるコレクションとなった。