Kroi(クロイ)は、内田怜央(Vo/Gt/Per 作詞)、長谷部悠生(Gu)、関将典(Ba)、千葉大樹(Key)、益田英知(Dr)から成る5人組バンド。R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆるジャンルの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する。2018年2月に結成し、2021年6月に1stアルバム「LENS」でメジャーデビュー。2024年1月には初の日本武道館ワンマン公演を行うなど、大躍進を遂げてきた。
そんなKroiが、TVアニメ「SAKAMOTO DAYS」第2クールに新曲「Method」を書き下ろし。ファッションプレスのインタビューでは、新曲の魅力はもちろん、バンド結成の馴れ初めからグループの根幹、彼らが愛するファッションについてまで、たっぷりと話を伺った。
はじめに、Kroi結成に至るまでの馴れ初めについてお聞きしたいです。内田さんと長谷部さんが同級生だったとか?
内田:はい、中学の同級生です。学校に軽音楽部が無かったので、本気で音楽やりたい人って数えられる程度しかいなくて……。長谷部と2人で音楽の話をするようになり、そこからバンドを組もうとなりました。
同じクラスだったんですか?
内田:一緒になったことは1度もないです。エスカレーター学校で、小学校からいる人と中学から新しく入ってくる人で半分半分。中学に入学したとき、すぐ友達ができるようにと、趣味などが書かれた全校生徒分のプロフィール帳みたいなのが配られて、長谷部が「楽器好き」と書いているのを見つけて最初に話に行きました。
長い付き合いですね!関さんと益田さんも同級生なんですよね?
関:僕と益田が大学の同級生で、2人(内田・長谷部)より5個年上です。自分たちが社会人1年目でサラリーマンをしている時に、2人は高校3年生の卒業前ぐらいで「バンドのベースに空きがあるのでベースを弾いてくれませんか?」とインスタでDMを送ってきました。
「今ドラム(益田)と一緒に音楽をやろうと思ってるから、ドラムも一緒だったらいいよ」と言ったら話が進んで。音楽の話でも意気投合して、すぐに結成しようということに。
その1年半後ぐらいに、当時から今までずっと支えてくれているマネージャーとシェアハウスしていた鍵盤の千葉が入りました。鍵盤を弾けるメンバーが欲しかったので、マネージャーの同居人にいるなら、ぜひ!っていう感じで後から加入してもらいました。
最初に集まったときの印象は覚えていますか?
長谷部:益田さんがドラムのスティックを投げたんですよ。 叩いたらスポーンって(笑)。
益田:俺、全然覚えてない…。それ印象か?(笑)
長谷部:最初にスタジオで集まったんです。どこかで話してからスタジオに行こう、とかじゃなくて、始めからスタジオ集合で。
関:事前にカバーする曲を決めて、それを合わせてみようと会ったんですが、結局、全然ダメでした(笑)。でもすごく楽しくて。そのあとみんなでご飯に行って深く話したら、聴いている音楽も似ていたりして。
Kroiが始まったその瞬間から「音楽で生きていく」確信のようなものはありましたか?
内田:どうでしょう。でも振り返ると、あの時は羨ましいほどの馬鹿さがあったなと感じますね。世界を変えられると思ってた。
結成してすぐの曲も無い時期に、「出れんの!?サマソニ!?」といういわゆるオーディションに出ちゃって(笑)。今だったらそんな準備で絶対挑まないだろっていうことにも果敢に挑戦していました。あのときの無鉄砲さのおかげで、今のKroiがあると感じます。
今では、ドラマ「オクラ~迷宮入り事件捜査~」の主題歌「Jewel」、さらにはSixTONESの5thアルバム「GOLD」に「Underline」を楽曲提供するなど、幅広く制作活動を行っていますよね。結成当初から変わったことがあれば教えてください。
内田:逆に今はスマートになりすぎかも。頭が良くなりすぎちゃった。
益田:体はスマートじゃないんですけどね(笑)。
関:よくない冷静さみたいなのが身についちゃったよね。
内田:表現において“馬鹿さ”は本当に大事だなと思っています。「なんでもできるぞ!」みたいなモチベーションというか、過信はすごく必要なのですが、なかなか維持するのが難しい。活動を続けていくと、良い意味でも悪い意味でもスマートになっていく気がしますね。
今ではスマートな、あるいは真面目な話し合いをしたりも?
関:あまりしないです(笑)。でも急にめちゃくちゃ熱くなるときはありますね。それこそ去年ツアーで沖縄に行った時には、5、6時間ずっと音楽の在り方を語りました。スタッフも含めみんなで夕ご飯を食べる予定にめちゃくちゃ遅刻しましたから(笑)。
千葉:俺はそこにいなかったんだけど、全然来なかったよね。「来ないね~」って言いながら先にスタッフとご飯を食べてて、結局、2時間くらい経った頃に来た(笑)。
関:お店に着いた頃にはみんな食べ終わっていて、俺らは残りものを少し貰ったな。真面目な話をしよう、とはならないのですが、スイッチが入るとめちゃくちゃ熱く話します。
TVアニメ「SAKAMOTO DAYS」第2クールに書き下ろされた新曲「Method」についても詳しくお聞きしたいです。いつもは内田さんがメロディーを先に作るとのことですが、今回もそのかたちでしたか?
内田:そうですね。自分が最初にデモを3曲くらい作って、メンバーやスタッフに共有して、どの曲が1番作品の世界観に合っているか、今のKroiが表現するべきものかっていうのを吟味しながら決めていきました。
(ほかのメンバーへ)最初に聴いてみたときはいかがでしたか?
関:……はい、かっこいい曲だな、と。
内田:言わされてるよね(笑)。
関:インタビューのときはいつもこのくだりやるね(笑)。でも実際に出してくれた曲はどれもかっこよかった。毎回怜央が作る曲って、今の怜央の想いが反映されていて、今のKroiが出したら面白そうな音楽を考えて作ってくれているなと思います。
「Method」はどんな想いで制作されたんですか?
内田:「SAKAMOTO DAYS」という作品の世界観と、それに自分たちが共感できる部分を探りながらつくりました。具体的には、第2クールの中でも印象的なシンというキャラクターの覚醒シーンをヒントに。
自分たちもライブ中にゾーンに入って覚醒した体験があるので、そういう共感できる部分を抽出して、自分の言葉にして書いていきました。
「SAKAMOTO DAYS」は、ギャグ要素満載かと思えば一気にシリアスにもなる、ジェットコースターのような滅茶苦茶な雰囲気も魅力だと思うのですが、なぜ“方法”や“方式”といったカッチリとした意味を持つタイトルなのでしょうか?
内田:アンバランス感を大切にしています。タイトルと楽曲の世界観のバランスが取れている曲って、分かりやすくて良いのですが、その分、表現の深さや幅みたいなものがぎゅっと圧縮されてしまう感じがあって。だからタイトルは、楽曲のコンセプトからすこし離すことが多いです。
「SAKAMOTO DAYS」で描かれる“殺し屋”の世界は、自由に戦っている感じがしながらも、1人1人の戦い方があるとも感じて。自分たちも各々プレイヤーとして、自分たちの戦い方、メソッドがあるので、そういった意味も込めて付けました。
内田さんは映画を楽曲制作のインスピレーション源にすることが多いとのことですが、今回は殺し屋系の映画を見返したりしたんですか?
内田:いえ、今回は原作をひたすら読み込んで作りました。でも「SAKAMOTO DAYS」自体、殺し屋映画のサンプリングがすごく多い漫画なんです。なので「このシーンはきっとあの映画だ!」って読み進めながらテンションがぶち上がる瞬間もありました。
長谷部:主人公の坂本が『レオン』みたいな格好するシーンもあるもんね。
内田:あるね。(長谷部に)『レオン』大好きだよね。
長谷部:大好き。『レオン』で、ゲイリー・オールドマンがビーズのすだれをかき分けるシーンがあるんです。そのシーンがすごい好きで、最近引っ越したんですけど、キッチンの入口のカーテンをそれにしようかなって思っています。
関:なんなんだよ(笑)。
長谷部:あと、もう1個いいですか?確定描写はないけど、おそらく薬なんだよな。錠剤を飲んで、は~って息を吸うシーンがあるんですけど、ちっちゃい時フリスク食べてずっと真似してて、今も自宅でやってます(笑)。
(笑)お話を楽曲制作に戻して…、普段のクリエーションでは大衆の声やファンの声など、そういった周りの評価を気にすることはありますか?
内田:めちゃめちゃ気にしますね。このバンドを長く続けたいという想いがあるので、そのためには多くの人に聴いていただきたい、自分たちの音楽を認知してもらいたいと思っています。ただ、世間の声を気にしながらも革命を起こしたい気持ちが結成当初からある。色々な人に聴いてもらえる楽曲を作りつつも、自分たちが表現したいものをしっかり入れていくことが毎回の曲作りに共通している気がします。
千葉さんはいかがですか?
千葉:え?
内田:実は一番喋ってない(笑)。
千葉:今なんの話されてましたっけ?
一同:(爆笑) 世間の声だよ。
千葉:世間の声は全く気にしないです。Kroiを始めた頃はSNSをチェックしていましたが、もう2、3年はほぼ見ていないですね。でもアニメ「SAKAMOTO DAYS」のPV解禁や、自分たちのライブ後はつい見てしまいますけども。