ディオール(Dior)が、2015年春夏オートクチュールコレクションを発表した。
コレクションのテーマは、ムーンエイジの白日夢(Moonage daydream)。SFや宇宙への旅、ポップカルチャーにインスピレーションを得て、社会を彩るような、無限の可能性をもつクリエーションをファッションで表現した。
「私は長年の間、いつも未来について考えていました。懐古趣味的に過去を見ないようにしていますが、過去は美しいものでもあります」とアーティスティック ディレクターのラフ・シモンズは語る。本コレクションは、チャーミングな50年代、冒険心を感じさせる60年代、解放感のある70年代など様々な時代の“過去”を、現代的な視点で映し出している。
メゾンを象徴する“フラワーウーマン(花のような女性)”は、常識にとらわれない自由な発想で描かれた。こぼれ落ちるようにレースの花々を散りばめたドレス、タトゥーのボディスーツなど。リアルなプラスチックのフラワープリントの中には、未来的かつグラフィカルな凛とした表情を持っている。
想像の中でみた異なる年代のイメージは、伝統の中に実験的なアイディアを織り交ぜることで、美しいクチュールとしてひとつのコレクションに変化する。豪華に重ねたギュピールレースのミニドレスには、フォトプリントを施したプラスチックのオペラコートを合わせたり、輝くスパンコールをドレスに贅沢にあしらったり……。そうした華やかな装いに大胆に取り入れられた、アシッドカラーのビニールブーツは、鮮明に色彩を放ちながら、素肌のように身を包んだ。
アトリエの限界に挑みながら生まれたオートクチュールコレクションは、「めまぐるしい感覚」とシモンズが語る通り、まるで夢のように美しい過去が表現されたショーとなった。