ジル・サンダー(JIL SANDER)の2016年春夏コレクションが、2015年9月26日(土)にミラノで発表された。未完という名の完成。ジル・サンダーが今シーズン提案するのは、見慣れたアイテムに、意外性のあるディテールを持たせるスタイルだ。
今期、多くのブランドがシースルー素材で肌見せを狙う中、ジル・サンダーはアイテムに施す「切り込み」によって、女性の肌を際立たせるという手法をとった。例えば、ジャケットの袖の付け根。縫製途中かのように、肩から肌が垣間見えるのが分かる。他にも、ニットの肘や、ドレスの脇などにも同じようなディテールが。高級感漂う生地を繊細に切り離したり、大胆に切り取ったりすることで、涼しげな印象と大人の色気を感じさせる。
他にも、ジャケットの袖の太さを途中で変えたものや、大胆にチューブでボディラインを引き締めたワークスタイル、使い方に疑問を抱く箇所に取り付けられたベルトや紐、わざと取り入れたシワ・絞りなど、未完と完成の間を彷徨うスタイルが登場。複雑化するディテールの一方で、レースや刺繍など、ラグジュアリーな生地感を取り入れることも忘れない。
最後にコレクションを象徴するハットにも注目。前方に重心がかかった、特徴的なシルエットの帽子は、なんと普通のつば広ハットを後ろで絞って留めただけ。後ろから見ると、シンプルに数カ所だけで留めていることがわかり、敢えて“スキ”を見せるコレクションの世界観を体現していた。