ヴィヴィアン・ウエストウッド ゴールドレーベル(Vivienne Westwood Gold Label)は、フランス・パリで2016年春夏コレクションを発表した。
毎度ファッションを通して、リベラルなメッセージを伝えているブランドだが、今季は高潮・水害問題を抱えるイタリア・ヴェネチアに起点を置いた。“ヴェネツィアの街を再生させよう”というメッセージとともに、傾きかけの「サン・マルコ広場」とボディービルダーのイラストがインビテーションに描かれていた。
この力強いエネルギーは、コレクションのメインとなるパワーショルダースーツに投影されている。華奢なモデルの体には似つかわしないほど広い肩幅のジャケットは、上着と共布のベストとマッチ。おもちゃや宝石、コインのようなパーツをじゃらじゃらとつけたり、刺繍を施したりして、デコラティブに仕上げている。
華やいだ様子は、貿易が盛んであった、かつてのヴェネチアをイメージしているのだろうか。序盤に登場した毛羽立った生地、色褪せたカラーリング、ほつれたような裾がみせる雰囲気とは一変。ショーが進むほどに、ゴールドなどの華やいだ色彩が多く使用されている。一枚布をまきつけひねったようなドレス、金刺繍を全面にあしらったガウン、スパンコールを縫い付けたワンピースなどは、ほころびのある洋服と対峙させることで、より輝きが増している。
硬くハリ感のあるドレスとオーガンザを合わせたしなやかなドレス。タイトフィットなワンピースと一部分をデフォルメしたようなキャミドレス。相反するもの同士が会話を鳴り響かせ、ヴェネチアへ強いエールを送るショーではあるが、終盤にかけては、イヤリングやドレスを纏った男性モデルが登場。やはりジェンダー問題は、ヴィヴィアン・ウエストウッドの心を掴んでいる切実なメッセージであるようだ。