ロエベ(LOEWE)の2016-17年秋冬メンズコレクションは、スペインのマドリード東部、クエンカという場所にあるシウダー エンカンターダの自然公園で撮影された。マッシュルームのような奇岩がいくつも林立する情景とジョナサン・アンダーソンが描く世界観がマッチし、幻想的なワードローブが披露された。
表面的で抽象的な自然界に浮かび上がるのは、これまでにも出会ったことのあるガーメンツ。それらの洋服をハイパーリラックスに仕上げた巨大な出で立ちが、ジョナサンの導いた答えの形だろう。冒頭のルックでフォーカスされたバックパックは、そのマニフェストの象徴といえる。背中を覆い尽くすような姿形には、圧倒される勢いの中にも力の抜けた穏やかさが見られる。
また、多くのコーディネートに取り入れられている帽子は、2016年春夏シーズン同様スリープウェアがインスピレーションの源。ゆるりとした感覚が1つ1つのピースから発せられているのがわかる。自然の風景と馴染むようなパレットは、古来から続くアースカラーが中心。そこに、ロエベらしい卓越した素材の技術が掛け合わせられている。
まるでデニムのように見えるレザー素材やスクラッチから織ったキャンバスファブリック素材のピュアデニムなど加工の良さもさることながら、“日の出”のプリントや翼のある恐竜、プテロダクティルスなどの秀逸なプリントもコレクションに深みをもたらしている。
アイテムとしても、インドネシアのスカーフモチーフからインスパイアされた黒のロングニットカーディガンや定番の大きな折り返しが特徴のボトムスなど見どころ満載。ジョナサンが紡ぐ独特の空気感とともに、ウェア同士のシナジーが楽しめるコレクションが完成した。