グッチ(GUCCI)は、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2016年2月24日(水)に、2016-17年秋冬コレクションを発表した。
アレッサンドロ・ミケーレ就任以降のグッチは、あらゆる垣根を越えてクリエーションを続けてきてきた。その背景には、特定の文化や時代から受けたインスピレーションではなく、たくさんのジャンル、スタイル、ムードがあり、またそれらの要素は、融合または集約させるといった形ではなく、一つひとつを独立させて共存させる感覚に近い形で調理されてきた。
今季は、新しい“何か”を仲間に加え、次のステップへと進んだように映る。これまで同様に、ノスタルジックな香りやギミックな仕掛けというのはそのまま。赤と緑のコンビ“ウェブ”を筆頭とした、メゾンを象徴するモチーフも変わらず味方である。しかし、より斬新な手法が加えられ、コレクション全体がアイコニックな存在へと昇華されている。
例えば、アニマルモチーフ付きのファーコート。昨シーズンは、繊細な刺繍で鳥や花々が描かれていたが、今季は大胆なトラのモチーフがバックスタイルに鎮座している。また、大きくブランドロゴの入ったレザーバッグには、手書き風のペイント「REAL」の文字が添えられているし、ジャカードコートに配されたファーの毛先は長く、プリントスカートの「GG」ロゴは大きく拡大され、存在感を増している。
コーディネートは、ワントーンルックを加えた。ビックボリュームの桃色ファーコートに、大きな花を飾りレザーバッグをマッチ。足元もやはりピンクカラーで統一され、華奢なメタリックサンダルを合わせた。ライトブルーで揃えたルックは、大きなハットがポイント。クラシックな膝丈ドレスには、中央にくるみボタンを並べて、華やかな首飾りをあしらった。一方、ストリートスタイルとの掛け合わせも目立つ。オーバーサイズのブルゾンやキャップといったアイテムが、折衷的なスタイルに自然に溶け込んでいる。
色濃いルックが発表されたショーは、とても現代的な演出で行われた。強い光と大きな音のなか、巨大スクリーンには抽象的な映像と、氷山・滝のような自然の様子が入り乱れて流れる。そして、そのスクリーンの前には、黒いメッシュの幕のようなものが配置され、スクリーンと幕の間をモデルが駆け抜けるという形式。ミケーレの豊かな感性に触れたいと誰しもが思うのに、どこか遠い。だからこそ目に焼き付ければと、観客は必至になり、また彼に心を奪われるのであった。