アンリアレイジ(ANREALAGE)は、パリ・ファッション・ウィーク初日の2016年3月1日(火)に、2016-17年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
これまで光をキーワードに新しい物語を綴ってきた、デザイナーの森永邦彦。そんな彼が追い続け続けているのは“洋服で情報をどのように伝えるか”だ。「ノイズとされているものは、果たして本当にノイズなのか。ノイズが無意味な情報であるならば、意味のある情報を表現したい。」、現代への投げかけともとらえられる、そんな思いから今季はスタートした。テーマは「ノイズ(NOISE)」だ。
パートナーを組んだのは、プログラマ / アーティストの浦川通。彼らが仕掛けたのは、様々な柄情報を暗号のように生地に埋め込み、透明フィルターによって模様たちを浮かび上がらせるというトリック。文字にすると、とても難しいように聞こえるのだが…。
モデルたちが纏ったのは、クラシックなドレスやシンプルなロングコートなど。目立った装飾性はなく、一つ一つのウェアに差異はあまり感じられない。しかし、会場中央にどんと構えられた、透明フィルターの囲いの前に立つと、ドット柄、千鳥格子、市松模様、フラワーモチーフなどが次々に浮かび上がってくる。さらに、後半にかけては、PVC素材のベストやエプロンなどをレイヤード。すると、このフィルターを通さなくても、様々なパターンが顔を出し、点滅したような特異な動きをみせてくる。
「ノイズといえば、テレビの砂嵐をまず思い浮かべました。」森永のイマジネーションから生まれた洋服たちは“テレビ”のように四角い。腕周りは細長い長方形で、肩は驚くほどに大きい。身体とテキスタイルの間には一定の距離が保たれていて、その多くはボックスシルエットに仕立てられている。後半にかけては、フォルムにも変化が生まれ、丸みを帯びたアーム、ジグザグとしたラペルなども登場するが、やはりロボットっぽさはぬぐいきれない。
一方で、小物の個性も際立っている。骨組みのような近未来的なシューズは、見た目に反して、こだわりぬいたのは履き心地で「絶対に疲れないヒール」を目指したと話す。一貫して採り入れられたヘッドピースも、脳のような形をしていて斬新に映る。