グッチ(GUCCI)の2017年春夏メンズコレクションが2016年6月20日(月)、イタリア・ミラノで発表された。無数のソファが置かれ、グリーンの照明で包まれた会場。配られたペーパーには鳥か龍の横顔が描かれ、まるでそれは海賊船の頭のよう。我々を乗せて大海原を航海する船は、ショーの幕開けとともに帆を張った。
ワードローブに、キールックは存在しない。なぜならどのピースも重要な役割を担っているからだ。海を越え地中に潜り、まだ見ぬ地へと突き進む、その旅で出会う全く違う文化を持ったもの同士の共鳴が、それぞれの洋服たちに落とし込まれているのだ。
地球上に存在するのは、人間たちだけではない。動物や植物、建物、芸術、そして空想上のキャラクターまで、様々なものが同時に存在している。プレーンでシンプルなグリーンのステンカラーコートから始まったコレクションは、時にアニマル柄を、時に日本の絵巻物に登場するような絵画を、オリエンタルなモチーフを、アイテムごとに散りばめて紡いで。“文化”という一つの括りに眠ったモチーフを、グッチが解き、そしてまた繋げていくのだ。
中にはディズニーのキャラクター、ドナルドが登場。彼がよく身に纏うセーラー服は、ニットウェアのデザインにも落とし込まれている。再三用いられている“loved"のモチーフ。国や文化、生物の垣根を超え、あらゆるものを「愛する」ことで、すべてが美しく輝く。そんなメッセージを感じるコレクションが完成した。